第二段階へ
「フローズン・レイジは期待できそうだね」
「常時発動型ってのが、さらにいい」
「でも、実質レイジが噛み合うスキルって、バレット系だけよね、それか水属性の相手」
「レイジがあるなら、土石直撃系で威力の大きいスキルも欲しかったなぁ」
「さすがにシャアリィに、あと20レベル頑張れとは今は言えない」
アイシャは、喜び半分、落胆半分だ。
だが、シャアリィ当人は全然、感覚が違う。
「何言ってんのアイシャ!」
「20だろうが、30だろうが・・・50レベル上げるのも、全然平気だし!」
「それにね、よっく考えてみてよ?」
「ウォーター・ショットの威力を一とした場合、フローズン・ショットは五」
「そうするとフローズン・レイジの発動条件を満たしたストーン・バレットは、平均的なウォーター・ショットの何倍よ?」
そう、単純計算で二十倍だ。
それは属性基本攻撃なんてレベルではなく、九節上級詠唱と同等の威力。
忘れがちだが、普通の魔術師には術式詠唱が必要であり、短縮詠唱の出来る術士は僅か。
魔術師同士の戦闘になった場合、事実上、シャアリィに勝てる魔術師は国中探しても5人もいないだろう。
恐ろしいことに、それが「属性標準攻撃」として使えるのだ。
「シャアリィはすごいな」
「自分のスキルの長所短所をよく把握している」
「私は、何処かまだ末っ子気分が抜け切れてなかったようだ」
「私もまた、まだまだ学びの途中だと思い知らされたよ」
二人は最近、巷では「白銀のアイシャ」「琥珀のシャアリィ」等とも呼ばれ始めていた。
気嫌いされているはずの冒険者を目指す若者も増えたらしい。
勿論、それは良いことだけではない。
真面目に家業を手伝っていればしなかったはずの怪我や、取り返しのつかない事故、特に酷い時には命を落とす者もいる。
そういう若者の親や知人は、ぶつける場所のない怒りや悲しみを抱えることになる。
だが、それが世界だ。
憧れていた仕事につける者や、その仕事で活躍出来る者だって、ほんのひと握りだろう。
だから、憧れはまばゆく尊い。
皆が皆、好きなことが出来るわけではないし、毎日、幸せなわけでもない。
小石に躓いた程度で消えてしまうもので世界は満ちている。
だから、シャアリィもアイシャも、他人のことなんか構っていられない。
というスタンスで生きている。
先日も、ギルドからルーキーの指導を頼まれたが、丁重に断った。
責任を持たなくていい、取らなくていい、と、言われた所で、それ自体がズレている。
責任は感じるもの、責任は負うもの、だから、他人の責任は感じられないし、負えない。
明日から、また、アイシャとシャアリィは迷宮の奥に向かって、二人だけのパーティでこっそりと潜る。




