新しいスキル
既にシャアリィ一味のたまり場扱いの黒猫のテラス。
心なしかウェイトレスの出迎えも素早い。
「今日は喉乾いてるから、ジントニック」
先程の疲れがあるのか、少しぐったりとしながらリラックスするシャアリィ。
対してまだ緊張の醒めきっていないアイシャは、
「私はフレーバーティをラズベリィでもらおう」
それを聞いたシャアリィがぷっと吹き出す。
「アイシャ、すっかり黒猫仕様になってるよ」
知らない者から見れば、この二人が冒険者などと誰が思うというのか。
それくらいには周囲の令嬢達に溶け込んでいた。
「さて、肝心のスキルだが・・・」
アイシャはどうやら待ちくたびれてしまったようだ。
シャアリィは、にんまりと笑って耳元で囁く。
「魔石600個の価値はあったからね」
ここからは筆談に切り替えられた。
「最初のひとつは、ストーン・バレット」
「ふたつ目は、サンド・ブラスト」
「みっつ目が、フローズン・レイジ」
「よっつ目が、バレット・サークル」
「なんと・・・いつつ目もあるよ・・・サンド・プリズン」
シャアリィが書き記したスキルの中で、アイシャが知っているのはストーン・バレットだけだ。
「サンド・ブラストって?」
簡潔なやりとりが続く。
「大きめの砂粒を大量にバラ撒いて相手の周囲を旋回させる術式」
「砂粒による小ダメージの他に、装備や相手の視界にもダメージを与える地味な術式だね」
「でもレベル差が大きな場合には、相手自体を完全に磨り潰せるらしい」
「魔石は残るかな・・・検証が必要だね」
「フローズン・レイジは?」
「氷結中の相手に対しての土石属性ダメージ四倍」
「水属性の相手にあらゆるダメージ五割増しのパッシブスキル」
「バレット・サークルは、なんとなくイメージ出来るな」
「ストーン・バレット使用後にそのまま石弾をある程度操ることが出来る的なやつか?」
「意図的に操れるのは、発動タイミングと回転半径だけみたいね」
「軌道は脊椎を中心とした真円で、今の所、軌道上に乗せられるバレットの数は三みたい。
「速度にもよるけれど、発動のタイミング次第では背中からバレットを当てるなんて芸当も出来るね」
「最後のサンド・プリズンってのは?」
「自身の体積の二十倍までの相手を砂の籠に閉じ込めて、魔力と体力をドレインする」
「えげつないな・・・プリズン」
「まぁ、その間、自身は追加術式を展開出来ないし無防備だから、回復か、拷問用だねぇ」




