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復讐者

ある日、ギルドに血まみれの男がやってきた。

シャアリィとアイシャにとっては初見の男だが、ギルドのメンバーは「またかよ」等と囁く。


「メンバー補充の伝票貼っとくから、やる気のあるヤツは声掛けてくれ」


受付嬢も慣れた様子で、必要な経費を受け取り伝票を男に手渡す。

殴り書きというのは、こういう文章なのだろう、という内容の伝票が掲示板のど真ん中に刺された。


「最深部ガーゴイル攻略につき、クラス2、3限定 十名まで」

「日当は一日50銀貨、攻略成功報酬は即時均等分配」

「要件、ガーゴイルの全滅確認」

「ギルド保証金1500金貨納入済みにつき、不払いの心配無用」

「但し、命の保証金はゼロ」

「パーティリーダー 『エドワード・ルッツ』 連絡はギルド宛に」


うん。

実に清々しい程、ヤバいパーティメンバーの募集だ。

こういうのを命が幾つあっても足りないというのだろう。


「で、エド」

「今回は、何人食われた?」

「ヒーラーがギルドに血塗れできたらダメだろ?」


周囲の冷やかしを完全に無視して、エドワードは『使えそうな』人材を物色している。

ギラリと光る双眸が、シャアリィとアイシャを見据えた。


「おまえら、が、アイシャとシャアリィ、か」


普通、ヒーラーというのは、寛容でおおらかな人物が多いのだが、彼は違うようだ。

盾役と勘違いするほどの筋骨に、鋼のハーフプレート、露出した肌に無数の傷と入墨。

ぼさぼさの赤髪と無精髭、骨張った顔付きに青い瞳。

胸元にぶら下げた十字架が、ただのファッションかと思うくらいにはぶっ飛んでる。


なるほど、と、二人はニヤついたまま、エドワードに挨拶する。


「確かに私達が、アイシャとシャアリィですが、どちら様で?」

「あなたのような個性的な方なら忘れるはずがないので、はじめましてですよね?」


エドワードは、つまらなそうに踵を返した。


「もっとマシかと思ったが、お嬢ちゃんじゃ話にならねぇ」


カチンときたシャアリィの指先が氷結でギラリと光る。

だが、アイシャがそれを許さない。


「御役に立てなくてごめんなさい」

「お元気そうでした、と、オルチェには伝えておきますよ」


オルチェという名前に反応したエドワードだったが、中指を立てたままギルドから立ち去った。

入れ替わりに入ってきた無個性な男が、カウンターに報告を入れる。


「エドワードパーティは解散だ」

「死者はゼロだが、重傷者七、あんな地獄は二度とごめんだ」


受付嬢は、ひらひらと一枚の紙を見せ報告の完了を認めた。


「既に解散届けは出され、新しい雇用契約要項が張り出されてますので、ご安心を」

「報酬は個々にお支払いします、怪我をされた方の治癒院へはギルドの使者がサインを受け取りに参ります」


それが、シャアリィ達と復讐者エドワードとの邂逅だった。


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