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葬送

新しいザックのパーティは、攻撃力に主眼を置いたアタッカー主体の編成だったようだ。

メンバーは全員で四名・・・敗因はベテランらしくないものだった。

連携不足によるメンバーの暴発、パニック下に撤退遅れが重なった末の集中被弾。

同じことが起きたとしてもオルチェがそこにいたならば、ザックが死ぬほどの被弾を受けることはなかっただろう。

或いは、ヒーラーのエドワードがいたならば、そもそも連携不足さえ起きていない。


「何故・・・勝手に!」

「冷却期間を置いてから切り崩し方法を考えようって自分が言ってたのに・・・」


最深部付近に陣取ってパーティを阻んでいるのは、ガーゴイルの軍勢だった。

迷宮の最奥に近い玄室や、仕掛け部屋、特別な場所では珍しくない迷宮の番人だ。

素早い動き、飛行能力、魔法攻撃、組織的行動からワイバーンにも匹敵する危険な魔物だ。

その危険度は単体でも十六以上。

ザックパーティが戦っていた現地では常に十五匹以上が徘徊し、軽く百匹は奥に控えていると予想されていた。


レリットランスの有力パーティは、皆、独占欲が強かった為にパーティ同士の連携が出来なかった。

魔法術式や、弩弓よりも装填の早い長弓の多人数部隊編成が必須だと、議論されていたにも関わらずだ。

ただでさえ迷宮の規模が小さく、北の迷宮に人が流出する中、ザックの死は迷宮攻略を困難にする一因になるだろう。


オルチェ達が、連日のようにガーゴイルを削り続けて穴を開けることに徹する日々に疲弊してたのは事実だ。

潜らない日は、他のパーティに先を越されやしないかと焦りもした。

ここ数ヶ月、ザックパーティのメンバーは、迷宮の中でも、外でも、安息がなかった。


ザックは、パーティメンバーにとって絶対的な強者だった。

剣と盾というオーソドックスな装備でありながら、卓越した技能でパーティの窮地を何度も救ってきたのだ。

ザックがいれば、何時か、必ず自分たちがレリットランスを攻略する、と、思っていた。


「アタシのせいだ」


オルチェは、酷く後悔していた。


「消耗戦は何時まで続くのかなんて、ザックのせいじゃないのに何度も噛み付いた」

「ザックを見捨てて、殺したのはアタシ、アタシ達パーティメンバーだ」

「アタシ達は所詮、英雄の器じゃなかったんだ」


ザックパーティの火炎術士アレックスがオルチェの肩に掌を置き、慰めの言葉を呟く。


「誰のせいでもないさ」

「強いていうならば、これが冒険者の人生だ」

「上手く行くこともあれば、下手を踏むことだってあるさ・・・

「オルチェ、自分を責めるな・・・メンバーを責めるな」


皆、迷宮に取り憑かれている。

危険を味わい生き残る快感に酔い痴れる。

シャアリィとアイシャは、ただ、冷静にザックの葬送を見守った。


「誰もが自分のせいだと、自分が何かしていればと、後悔する」

「でも、そうはならなかったし、これからも迷宮では繰り返される」

「それに耐えられる者は迷宮に残り、折れた者は迷宮から立ち去る」


葬列が終わり、二人きりになった時、アイシャはシャアリィに語った。


「私達は残ることを選んだ」

「だから、毎日を後悔しないように、その時が来ないように、ただ、己を研ぎ澄ますのよ」

「・・・でも、私達は幸福ね」

「一人だけで死ぬようなことはあり得ない」

「あなたが相棒で良かった」


シャアリィは微笑む。


「そうだね」

「私達は既に味わっているから・・・最後の時まで戦い続けることが出来るから」

「おやすみ、ザック」


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