合点
何故、幼いままにシャアリィが氷結術式を覚え、何故、フローズン・ドラゴンのブレスに耐えたのか。
もしも、これが因果というのならば、あまりにも無意味で今更ではないか。
「世界なんて凍ってしまえ」と叫び続けた少女が、凍りついて死ぬなんて。
だから魔人になってしまったのか。
アイシャの眼から止めどなく涙が溢れた。
よくある話だ。
この世界では。
迷宮なんかを歩いていれば。
意味もなく、理由もなく、何もかもが奪われるなんて。
迷宮でなくたって、どんな村だって、街だって、昔だって、今だって、よくある話だ。
だけど、アイシャの涙は止まらない。
「ありがとう・・・」
「話してくれてありがとう」
心の一番底にある醜いモノさえも、シャアリィはアイシャに話したのだ。
アイシャには、それを理解し、祝福する義務がある。
「思慮が足りなかったのは、私のほうだ」
「でも・・・そんな理由を聞いたとしても、私はシャアリィに謝らないよ」
「だって、ずっと、一緒にこれからいるんだから」
「私達は相棒なんだから」
氷結の魔人の瞳に光が戻る。
「ありがとう、私の初めての友達は、とてもいいヤツだ」
「とても優秀な師匠でもあるし、実はね・・・私も思ってた」
「姉なんてものがいたなら、アイシャみたいなひとじゃないかって」
「でも、現実の私達は相棒だから、妹みたいには甘えたりしないよ」
シャアリィは悪戯に笑う。
「私には、これ以上の面白い話はないからね」
「多分、アイシャの冒険譚を聞くほうがずっと楽しいはず」
アイシャの涙が止まるまでには、もう少し時間が掛かったが、それでも夕食には間に合った。




