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アレとソレ

冒険者ギルドの斜向かいにある「黒猫のテラス」というカフェテラスは、見るからに高そうな店だ。

だが、場所柄のせいか店内も、オープンテラスもほぼ席が埋まっていた。

場所柄のせいというのは、当然ながら冒険者ギルドの近隣という意味。


数あるギルドの中で、商業ギルド、冒険者ギルドは共に羽振りが良い連中が多いのだ。

商業ギルドに至っては、ギルド内に商談専用個室ラウンジもある。

金が動くところには必ず人が集まる。


シャアリィとアイシャは、オープンテラス席を予約し10分程で席が回ってきた。


「チーズタルトとキャラメリゼ・パイ、あと、シナモンティーをお願いします」


小綺麗なウェイトレスの注文取りに先に応じたのは、やはりシャアリィだった。


「私もお菓子は同じもので、飲み物はカシスオレンジを」


涼しい顔で、アイシャは飲み物にアルコールを頼んでいた。

まだ陽も上がりきらぬうちからアルコールを飲める幸せは格別だろう。

二人のテーブルに間もなく飲み物が運ばれてきた。

どうせ、追加を頼むのだからと、思う存分にそれを味わう。


「ねぇ、シャアリィ」

「あなたってアレなわけだけど、食事とか発汗とか喉の乾きとか、以前とあまり変わってないような」

「あ、勿論、これは不便はないかという確認だから、答えたくないなら答えなくていいよ」


シャアリィ自身、当初、覚悟していた不便はあまり感じていない。


「食欲も、疲労も、睡眠欲も至って普通」

「強いていうならば温度に少し鈍くなったくらいかな」

「かすり傷だったから言ってないけれど、血も赤いし、ちゃんと出る」

「これで、アレがないアレなんて、私自身信じられない」


その返答だけでは安心しきれずにアイシャは、小声で、もう少し際どい質問をした。


「えっと、月のモノはどうなの?」


忘れてたわけではないが、元々シャアリィは予定通り来るほうではないので、気に掛けていなかった。


「今の所、まだない」

「気配もない、けれど、まぁ、ないならないでいいかなって」

「少なくとも、ヤツと戦えるようになるには数年は掛かると思ってるし、私・・・子供好きじゃないんだ」

「自分が孤児だったせいもあるけれど、自分が親とか、家族とか、イメージ出来ないし」


アイシャはわざと話の方向性を変えた。


「なるほど」

「アレがなくなっても、不便がないというのはソレがアレの代わりを十全に果たしているということね」

「何か変化があれば、何時でも、ちゃんと言いなさいよ?」


あ、と、シャアリィが何かを思いついたように声をあげた。


「えっとね、魔力の通りがめちゃめちゃ良くなったの、と、眼が良くなった!」

「それとね、集中すると時間経過が遅く感じることがあるんだ」

「あと、傷の治りがめちゃくちゃ早い」

「そういうのって、アレのせいだよね?」


アイシャは一つの仮説を答えた。


「魔力っていうのは血管とか筋肉を経由しててソレはアレよりも魔力を伝達する能力が高い」

「だから、集中したりすると微妙にだけどエンチャント状態になるんじゃないかな」


エンチャント・・・。

聖職者が使う信仰的術式で、魔力を触媒にして自己、又は他者の身体、精神の能力を一時的に底上げするスキル。

持続性を高めるスキルも総合してバフとも呼ばれる。

逆に信仰的術式で他者を妨害するスキルはデバフ、カースと呼ぶ。

又、特定の技術を極めた者は、それを物質に一時的、或いは永続的に付与することさえも可能となる。

シャアリィは、魔核を心臓の代わりに得たことで、自己エンチャントを発動しているのではないか。


アイシャは一つの閃きを得る。


「シャアリィ、もしかしたらだけど、あなたはとんでもない存在に進化する可能性を秘めている」

「二つの例えで言うならば、聖職者、死霊術にあなたのスキルが傾いた場合、恐らくアレとしての真価を発揮すると思う」


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