レリットランスのギルド
「魔石の買取をお願いしたい」
「ゴブリンのジェネラルが6、シャーマンが1、メイジが1、それとスパイダーが22」
冗談のような数の買取にざわめきが起きる。
「ジェネラル6だと・・・爆破材でも仕掛けたのか?」
「スパイダー22ってのも、おかしいだろ」
「レリットランスの旧エリアは、鍾乳洞や鉱石地層もあるから爆破材はナシだぜ?」
「新人がルールも知らずに使ったんだろうよ」
言いたい放題だ。
間抜けでもない限り、慣れていない迷宮で崩落の原因になりかねない爆破材など使うわけがない。
しかし、並べられた魔石を見れば、そう疑いたくなるのも理解出来る。
カウンターの受付嬢も爆破材の使用を疑い、魔石を一つ一つ丁寧に鑑定する。
「ふむ。爆破材使用の形跡はありませんね」
「禁止されている劇毒も使用されていません」
「全て魔法術式か、白兵戦での収穫物だと判断します」
爆破材を使えば割れや欠けが発生するため、魔石は半値以下の買取値段になる。
劇毒を使った魔物の駆除は魔物が増えすぎた場合などにギルドが主体になって行うことがある。
その調合は門外不出であり、取り扱いも極端に難しい。
それに劇毒に使用する材料は、ギルド経由でなければ、まず、手に入らない素材。
これらを考えれば疑う余地など何処にもないのだ。
「てことは、この小娘達がペアでそれだけの魔物を仕留めたってことか?」
「いやいや、クラス3パーティのお使いで換金にきただけだろうさ」
「おっと、アイシャじゃねえか」
「アーシアンからこっちに来てたのか?」
群衆の中にアイシャを知っている者がいたのは幸いだった。
「こっちの娘はアーシアンじゃクラス3で前衛やってた腕利きだぜ」
「もうひとりのほうが知らんが、アイシャが組んでる相手なら相当の使い手だろうよ」
「珍しいことがあると、すぐ疑うとこから入っちまうのが冒険者の悪い癖だな」
すっきりと疑いが晴れたわけではないが、アイシャも、シャアリィもお構いなしだ。
「これくらいなら、毎月でも持ってくる」
「迷宮に潜るのは、月に一度か二度だから、頻繁には持ち込めないけれどね」
「これから世話になるのだし、今日はここにいる全員に酒を振る舞うよ」
「挨拶はそれでいいかな?」
さっきまでの険悪なムードが、酒、の、一言で上機嫌になるのも冒険者ギルドというやつだ。
「若いのに礼儀を弁えているじゃないか、気に入ったぜ」
「へぇ、アーシアンからこっちへね」
「片刃剣に弩弓、しかも居合使い・・・さすがはクラス3・・・凄みを感じるわ」
「まぁ、俺は疑ってなかったさ」
「ただ、ほら、こういう場所だろ?舐められるわけにゃいかないからさ」
アース・スパイダーは普段狩るものがいないため、そろそろ討伐クエストを出す所だったらしい。
おかげで魔石の買取に少しばかり色がついた。
魔石の買取だけで、銀貨800枚以上になったのは幸先がいい。
「これからも、大活躍期待してるぜ」
「アイシャと、シャアリィ」
顔を売るという目的は果たせたようだった。




