迷宮踏破
最奥からの帰り道。
エドワードがアイシャにもう一度治癒を施す。
「一応、女の子だからな・・・顔に傷が残るようなことがないように」
「一日、二日は引き攣るような違和感があるかも知れないが、ちゃんと治る」
「ホントは、今日くらいアルコールはやめとけ、と、言いたいが」
シャアリィが、そりゃあ無理でしょうと笑う。
「アイシャは、私が一生面倒見るから、傷くらいあっても大丈夫」
「でも、ありがとね・・・エドワード」
アイシャは、女の子扱いされたことがあまり記憶になくて、少し気恥ずかしかった。
「恩に着るよ」
「あんな所に付き合ってもらって、無傷で帰れるのはエドワードのお陰だ」
・・・
冒険者ギルドの扉をシャアリィが勢い良く開けて、『彫像』の討伐成功を告げた。
そこにいる者全員から祝福の言葉が次々を発せられ、気の利く一人がクエスト掲示板から、ネームド討伐の伝票を剥がして、アイシャに手渡す。
カウンターの受付嬢が、ギルド・マスターのロートシルトを呼ぶ。
「おいおい、ネームドになるまで待たずに討伐してくれても良かったんだが」
「ああ、アレを倒したということは、お前たちが『迷宮踏破者』になったわけだ」
「えっと、アイシャ、シャアリィ」
アイシャがそこでエドワードを自分の前に立たせる。
「と、エドワード、だな」
満面の笑顔で、シャアリィとアイシャが頷く。
「すぐに酒盛りしたいだろうが、手続きが先だ」
「三人は奥の部屋においで」
・・・
踏破証明:
発行者:ロートシルト・エイヒム
迷宮名:レリットランス
踏破者:アイシャ・セロニアス、シャアリィ・スノウ、エドワード・ルッツ
踏破日:五三六年六月二日
踏破要件:迷宮最深部の魔物『彫像』の討伐遂行
・・・
「お前たちにはレリットランス踏破目録が授与される」
「今後、毎年二月一日にレリットランス迷宮から採取された魔石の利益の二パーセントが、代表者の口座に振り込まれる」
「アイシャは既に口座があるが、他の者でも構わないぞ?」
アイシャとシャアリィは、揃って、
「じゃあ、エドワードの口座で」
と、絶妙なハーモニーで指定した。




