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手際の良い解決

誰よりも早く、自分の意思を伝えたのはエレナだった。


「時間だけが過ぎて、出口の見えないような生活には戻りたくありません」

「貰ったチャンスを上手に使って、私は妹と幸せな人生を送りたい」

「何時か好きなひとが出来て、結婚して、子供を作って・・・」

「アレックスさん、オルチェさんに面倒を見た甲斐があった、と、言ってもらいたい」

「私は、このお店で、もっとちゃんと仕事が出来るようになります」


ナッチェも、エレナと同じ意見のようだ。


「仕事は甘くないのです」

「だから頑張るし、頑張るとごはんが美味しいのです」

「褒めて貰えると嬉しいのです」


アレックスは、真面目な顔で、オルチェに謝る。


「そういやぁ、俺達って格好いい大人が周りにいなかったんだっけな」

「年を食って店を持って、嫁が来てくれて、ちょっとばかり格好つけようとしちまった」

「俺達はこのコ達の良い手本にはなれないが、支えてやることは出来る」

「オルチェ、済まなかった、一緒に力を貸してくれ」


オルチェは、まだやり場のないモノが腹にあるようだが、


「またしてもあんたたちにしてやられて、型なしだよ」

「エレナ、ナッチェ、面倒を見るのはアタシ達の役目だ」

「あんた達は、もっと我儘を言っていい」

「でも、アタシが間違ってると思うことは、また、こうやって話をしようじゃないか」

「子供じゃなくて、ひとりとひとりのヒトとしてね」


シャアリィがタイミングを見計らったように、件の店から買ってきた菓子の包みを開ける。


「チョコとキャラメルには罪はないし、黒猫姉妹が可愛いのも同じく罪はない」

「お茶の時にでも召し上がってくださいませ」


さらに、アイシャが鞄からごそごそと包みを出す。


「これをアレックス達に渡しておきたいんだ」


アイシャがテーブルに乗せたのは、ワイバーンの魔石が三つ。


「エレナ達に何かあった時のために使ってくれるといい」

「亜竜の魔石だから、一つで金貨五百枚にはなるだろう」

「まだまだ死ぬ気はないが、私達の此処からの道は命を掛けた旅になる」


アレックス、オルチェ、エレナ、ナッチェの顔色が変わる。


「他人には何も言わせないよ」

「これまで隠してきたけれど、私達の旅の終点はフローズン・ドラゴン討伐だ」

「そのための準備をひとつひとつ練り上げてきた」

「まずは、前哨戦として、レリットランスのネームドを倒す」


シャアリィも、アイシャも、涼しい顔のまま。

気負いもなく、やれて当然という余裕さえ漂っている。


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