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因果応報

結局、次走のキャラバンはウィトプラナ留まりだった。

シャアリィとアイシャは直通を諦めるしかなく、ウィトプラナへの滞在を楽しむことにした。

この街を出れば、また、十日以上、水浴びもままならないし、食事も満足とは言い難い。


「そういえばね」


と、シャアリィがアイシャに切り出す。


「エンチャント戻ったっぽい」

「めっちゃ、調子良くなった」


アイシャは、笑いながら答える。


「それは何よりだが・・・シャアリィ、私より戦闘狂になってきたね」

「今回の戦闘結果にしてもそうだが、私より容赦がない」


シャアリィは当然のような顔で、


「容赦するほうが可哀想じゃない?」

「アイシャに足折られたおっさん達、まじ泣きだったし」

「私のほうが優しいってことだよ」


この世界で足が折れるということが、どれ程、大変なことか。

しかも、アイシャの三節棍で叩き折られたのだから、皮一枚で繋がっているだけだろう。

再び歩ける可能性は、残念ながら義足なしではあり得ない。


義足以前に、折れた場所から壊死することを防ぐ必要もある。

なんとかそれが叶ったとしても、彼らに待ち受けるのは犯罪者としての扱い。

盗賊団の一員であれば、当然、死罪。


客観的に見れば、自ら死んだほうがマシだとも言える。

それでもひとは奇跡に縋り、自ら死ぬには強固な決意が必要なのだろう。

自分が犯してきた罪など振り返る余裕はない。


「うわ・・・これは酷いな」

「ああ、殺してやるほうが慈悲ってもんだろう」

「もう、駄目だろうし」


残酷とはなんだろうか、冷酷とはなんだろうか。

正義とは、悪とは、業とは、徳とは・・・。


結局、盗賊団も逃げた護衛も、悪人は皆、助からなかった。

足さえなんとかなれば助かる者も、助けなかった。

助けた所で、面倒が増えるだけなら、どちらの徳にもならないからだ。


命乞いをする男の頭に重い石が振り下ろされる。

シャアリィとアイシャさえ、このキャラバンに乗り合わせていなければ、今頃、(ねぐら)に戻って、皆で酒盛りをしていただろう。

ずっと、上手く盗賊稼業を続けられたかもしれない。


でも、そうはならなかった。


まるで、あの日、シャアリィの前にフローズン・ドラゴンが現れたように。

死神は突然、現れるのだ。


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