中継点の街
渓谷地形を抜けて風景が一変すると、そろそろカレンザの街が近い。
グリーン・ノウズと同じように、バルザックガルドとの戦災に巻き込まれた地域だが、復興はグリーン・ノウズよりも随分早かった。
この周辺は大教会からは離れていることもあって、マーヴェリック騒動には巻き込まれなかったからだ。
中継点の街というのは、結局の所、街道が近隣を通っていながら、都市に発展するだけの人口を抱えきれない街だ。
人が移住し、定着するには産業だけでなく、様々な設備や施設が必要になる。
それらを計画的に管理、運営出来る統治者がいなければ、発展は見込めない。
短期的な収益だけを求めて、必要最低限の街が形成されているだけに過ぎないのだ。
それはウィトプラナのような農耕都市と真逆であり、多くの場合、中継点の街の中心は歓楽街になる。
治安なんて言葉を口にすれば、昼間の街歩きさえ出来ない。
シャアリィとアイシャは、衛兵宿舎に向かう。
「このへんで暴れてた盗賊団にキャラバンを襲われたから、蹴散らした」
「護衛の奴らは盗賊団に雇われてたよ」
「まぁ、そのあたりも現地で聞いてよ」
賞金首の討伐報酬は、どうする?
と、聞かれてシャアリィは素っ気なく答える。
「騎手が二人死んでるんだ」
「その人に家族がいるなら、その人たちにあげてよ」
「てわけでね、キャラバンの車両が引っ繰り返ってる傍に盗賊とか、盗賊に雇われた冒険者」
「動けなくして放置してあるから、よろしくね」
衛兵にしてみれば、よろしくと言われた所で出来ることは限られている。
馬車で半日程の距離、賞金首の確認と確認後の処理。
処理と言っても悪党の為にわざわざ穴を掘ることさえ、面倒だ。
どうせ人里から遠くはなれた荒地のような場所なのだから、街道から見えない程度の所に捨てるだけでいい。
そうすれば獣や鳥、最後には虫が後始末してくれる。
賞金首になっているような悪党は、見せしめとして吊るすこともあるが、効果はイマイチらしい。
シャアリィとアイシャは、この辺鄙で不便な中継地点で、次のキャラバンを探さなくてはならない。
グリーン・ノウズからの便ならば、一日、二日のうちに来るだろう。
しかし、イルオールドまでの直行便かどうかは運次第。
当分の間、馬車の待合所が見えるカフェで、朝から夕方まで暇を潰すことになるだろう。




