表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
111/171

よくあること

グリーン・ノウズを出発して五日目。

つまり、ウィトプラナとのちょうど中間点。

風と水の侵食作用で硬い岩石層が剥き出しになった渓谷地形。

それはキャラバンにとって最大の注意を要する場所だ。


「護衛って何人だっけ?」

「まぁ、私達は一応、乗車料金を払っている客なので、ゆっくりしたい所だけどね」


アイシャが良からぬ想像をした途端、それは現実となる。


「盗賊団だ!」


御者台から騎手が不穏な言葉を叫んだ。

五両編成の長距離キャラバンともなれば積荷も多い。

儲けも多い分、それなりに護衛は揃えているはずだが、盗賊や野盗ではなく、『盗賊団』。


職業的な野盗集団で、統率がある程度取れている集団を指す言葉だ。

護衛が弱かったり、数が足りていないと被害が出るという予想は誰にでも出来るはず。

シャアリィの体調は万全ではない。

静観すべきかと、アイシャは躊躇した。


「畜生め、護衛が逃げた!」


その叫びにシャアリィはうんざりとした顔でアイシャに問い掛ける。


「面倒なことになる前に、片付けちゃおうか」


アイシャはシャアリィの不調を心配する。


「シャアリィ、無理はしないで」

「私ひとりでも多分、片付けられるよ」


シャアリィは首を横に振った後、違う意図も含んでいることを伝える。


「盗賊団、だからね」

「私のほうが殲滅には向いているよ」

「馬車の中が安全とは限らないしさ」


数というのは、それだけで危険度があがるのだ。

シャアリィはガーゴイルで痛い目にあったことを忘れていない。


「了解だ」

「馬車が止まったら始めよう」


積荷の物品や乗客の金品を奪うのが目的である以上、相手は必ず馬車を止める。

騎手が殺される前になんとかしたい所だが、それは上首尾に運んだ場合に限る。

馬車を止めても、止めなくても、騎手は真っ先に殺される。


相手が少しでも賢ければ、騎手を生かしたまま馬車を止めるほうが商品を台無しにせずに済むだけマシだとわかるのだが、それをならず者に期待するのは難しい。


騎手は馬車を止めるという選択をしない。

中継点まで逃げ切れば難を逃れることが出来るという希望、動いていれば相手も手を出し辛いだろうという思惑、馬車の前を塞がれても、強制停止まで突き進むだろう。

そうすれば、馬車の足を止めるべく馬が殺される。


速度が出たままで馬車が横転すれば大惨事だが、自分の命が掛かっているのだ。

まずは無事に馬車が止まることを祈るしかない。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ