融合個体(キメラ)の魔石
「フランコは、魔石、どの程度必要なのさ?」
と、シャアリィが尋ねた理由は、フランコとの関係維持が得策と判断したからだ。
その問いに対してフランコが答える。
「通常の魔石は、正直、必要ないかな」
「ただ、特別な魔石は欲しい・・・右耳、左耳の迷宮にいる、融合個体の魔石」
「さすがに私一人、治癒術と体術だけではあの魔物は倒せないからね」
「だから、それを所望するよ」
融合個体・・・初めて聞く魔物のタイプだ。
「ああ、君たちの界隈では『キメラ』と呼んでるものだよ」
「別種の魔物同士を呪術的技法で強引にくっつけた、子孫を残さないタイプの魔物」
「既にこの大陸にはその手の研究者はいなくなったから、貴重な個体だよ」
なるほど・・・少々、厄介な依頼だ。
「で、そいつはどれくらいの強さなの?」
「まぁ、結局はやり合ってみなきゃわからないんだろうけれど」
小さな溜息混じりにアイシャが、フランコに問う。
「私達ならば勝てると踏んでの依頼だろうが、念の為に聞いておく」
能力的には・・・と、フランコが説明を始めた。
「大型の馬の体躯に、狼の頭、そして蠍の尾がふたつ」
「程々の再生能力を持っていて、勿論、ゾンビィだ」
「放っておくと無傷の状態まで回復する」
「単独では倒すのは難しいが、二人ならばラミアやアラクネと大差ない程度だよ」
「但し、毒のある蠍の尾だけは要注意だ」
シャアリィが、なる程と納得しながらも・・・
「ラミア、アラクネと大差ないって・・・相当強い部類じゃん」
「それも毒持ちの上に再生能力付き」
「万一に備えて、フランコも来なさいよ」
「解毒とか上級治癒とかあるんでしょ?」
しょうがないね、という表情でフランコが同行を承諾する。
「まぁ、私が一緒に行けば直通ルートも使えるから、より確実だね」
「キメラが済んだら私は帰るけれど、それでいいかな」
シャアリィとアイシャがフランコの条件に応じる。
「私達は、シャアリィの根源転換術式用に、魔石を二千、採取する」
「それは構わないね?」
こうしてグリーン・ノウズでの最後のミッションが始まった。




