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アンデッドの迷宮

「教会関係者なら知っているでしょう?」

「どうして、この周辺の迷宮はアンデッドだけになったのか」

「絶対、教会がなんか仕組んでいるよね?」


シャアリィは率直にフランコに尋ねた。

最早、共犯者である三人にとって禁忌(タブー)と言えば、自分の弱みくらいしかない。

実にあっさりとフランコをそれを認め、経緯を二人に教える。


「発見された当初は、いろんな分野の研究実績、途上のもの、放棄されたもの、まぁ、本当に様々なモノがあったらしいね」

「しかし、当時の教会の技術や知識では、複雑な魔導全般の遺産を殆ど吸収しきれなかったんだ」

「それでも、幾つかの術式を君たちが言う陽根源転換術式に取り入れることは出来た」


走り書きのメモで、フランコは説明する。


「人間の身体が、何故、形を変えず維持出来るのか、知っているかい?」

「それは我々を構成する成分の中で、生きるものと死ぬものを選別する仕組みがあるからさ」

「髪は切らなければ伸び続けるけれど、手足や指はそうではない、と、言えばわかるかね」


アイシャも、シャアリィも、それで何が言いたいの?と、目を細める。


「人体に対して、そのバランスを意図的に制御すること、それが治癒術」

「当時の教皇が恋焦がれて目指していたモノは究極の治癒術『不老不死』の術式さ」

「でも、『不老』と『不死』には大きな矛盾がある」

「不老は成長や増殖を止めることで成立するけれど、それって言い換えれば『死』だよね」

「『不死』というのは、死という変化が起きても、それを埋める増殖で成立する『生』なんだ」


アイシャはかいつまんだ内容だけを理解した。


「不老不死は実現不可能・・・ということだな」


フランコは小さな拍手をして、『ご名答』と笑顔で答える。

だけど・・・と、続ける。


「エルゴ・ダインの遺産から不老不死の術式を作ろうとして、結局、作れなかった」

「それにも懲りず、偶然に一縷の望みを賭けた教皇が命じたのは、天然の不老不死者を作る計画だよ」

「魔人をベースにして、結界に閉じ込めることでそれを成そうとしたのさ」

「確率を上げるために、発見された迷宮、全部を使って!」


ここからは本当のヤバい話だ、と、飄々としていたフランコが真剣な顔になる。


「狂ってたのは、エルゴ・ダインじゃなくて教皇だったのさ」

「何年も殺戮を続けたのは教会の人間であり、教皇の命だ」

「エルゴ・ダインは確かに異形の怪人に成り果てていたが、マーヴェリックに仕立てのは教会だ」

「殺戮で得た膨大な『材料』や『燃料』で、迷宮に灯りを灯したわけだ」

「当然、こんなことは世間には知られちゃあならない」

「だから、冒険者がなるべく立ち入らないように、いろいろ細工してるってワケ」


シャアリィが疑わしい眼差しをフランコに向ける。


大凡(おおよそ)、辻褄は合っているけれど、どうして末端の聖職者であるフランコが、それを知ってるわけ?」


真実であれば、教会から信者が消え失せてもおかしくないような話。

信憑性自体を問うのが普通だろう。


「私の家系の何人もが、それに関わってきたからだよ・・・」


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