9 左右切り上げ
切り上げ・斬り上げ
これは難易度が上がる。
そもそも重力に逆らって切り上げるのだ。
重力に逆らわない自然刀法の真向・袈裟より難しいのは当たり前だ。
まず、脇構え。
左足を前に大きく開き半身になる。剣は刃を下に右脇に持ち剣先は後ろに下げ沈なる身となる。
これにより相手からみると剣を引いているので、長さが分かりにく間合が取りにくい。
相手には自分の頭が一番近くなる。
近い場所を狙うのはナイフなどのファイティングでもセオリーだ。
敵が頭を打ってくるので迎え打ってその手首を下から切り落とす、もしくは斜めに切り上げる。
あと、敵が切り掛かって来たところを後ろに下がりながら刀を上段に回して構え、そのまま踏み込んで来た相手の小手を切る稽古をする。
まず切り上げだ。
脇構えから左足を40センチぐらい左に持って行き、右足を前に大きく踏み出しながら下から斜め上に切り上げる。ボウリングのボールを投げる様なイメージ、野球のアンダースローの様なイメージで切る。
切り上げ上を向いた剣先はすぐに下ろし、相手に向け間合に入れさせ無いように牽制する。
左足を捌きながら体と剣を動かすのがポイント。
脇構えに構える。相手が自身の頭を狙って来るので、左足を引きながら、脇に持っていた剣を回して上段になり真正面を切る。
剣術はとにかくナガラ作業が多い。
上手く身体と剣の動きがスムーズに一致するまで、繰り返し納得の行くまで稽古をする。
左脇構えからの技は更に難易度が上がるが同じように稽古をする。
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「ナガトは脇構え馴染んでるだろ?」
「大好物?ですね!、小手をすくうような撫で切りが得意でしたね」
「刃を上にして剣を担ぐように持って、相手の拳に当てながら前に抜ける「下がり藤」という技もあるぞ」
「なるほど指を撫で切りで抜けるわけですね」
「これは一度やれば分かるだろ?」
「はい、わかります、後は繰り返し稽古ですね」
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この稽古場は剣物の家の奥の中庭にあり、外からは見えないようになっている。
中の様子を見るには左の小屋の屋根上しか無い。
剣者にはバレバレだが、退去を命じ無いので監視OKと言う事だろう。
それにしてもあの三男坊は、本当に噂通りのバカの無法者なのか?
粗暴さは全く無いどころか落ち着きさえ感じる。
何より剣者様が旧知の者のような対応を見せているのが驚きだ。
これは何と報告すれば良いものか・・・・




