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8 左右水平

机を腰上ぐらいまで上げる。

右足を前に出し握った木刀を机に乗せ、腰をややひねり左横に引く。机に乗せたまま水平に木刀を滑らせ正面の相手の胴を打つ。 

次に位置を変え左足を出し木刀を机に乗せ、腰をひねり水平に滑らせ正面の胴打つ。

しばらく行って左右水平の軌道を身体に覚えさせる。

これで水平斬りのイメージを何となく掴む。

何となく覚えたら机を取る。


水平斬りの剣の軌道は厳密に言うと、書道の一の字の軌道に近い。

横に剣を引いた時は下がり、斬りつける時は上がり切った後は下がる。

人体の作り的に自然とこういう軌道を描く筈であるので、物体に刃が通る時には出来るだけ真っ直ぐ振るように意識する。

そうしないと刀に変な応力がかかり曲げたり折ったりしてしまう。

前足を軸にして周り身体の動きも乗せられるようになると、広範囲の薙ぎ払いや抜け技が出来るようになる。


出来るようになったら立て木を、左右水平に足を踏み換え打つ。

左右で100回ほど打つ。

次は立て木の周りをまわりながら打つ。

これを左右で100回ほど打つ。


ここまでの稽古で前後の進退において頭が上下するのは、腰が出来て居ないのだ。突っ立ったままの体勢だと進退は速いが、体当たりをされた時に簡単にふらついてしまったり、斬った時にもふらついてしまうのだ。

腰を落とし重心を下げしっかり地面を踏み締める。

いわゆる(ちん)なる身と言うやつだ。

これをしっかりと意識する。


最終的には立ち身と沈なる身を、使い分けられるようにならなくてはいけない。


◾️◾️◾️◾️


「沈なる身は「介者剣法(かいしゃけんぽう)」ですから重厚感?がありますよね」

「素肌剣術になって構えとか姿勢も変わったからね、ナガトは陰流系だからその辺の経緯も良くわかるだろ?」

「はい、良く分かります」


「一刀流系の近代の剣道などはずいぶん洗練されて来てますよね。良い意味でスポーツの領域に入って来ていますね」

「まだかなり武道寄りだけどね、ちゃんと残心を取るからね。」

「実際に強さ的にはどう思われます?」

「剣道は棒を持てばかなり強いね」

「日本刀を持ったら?」

「剣道しかやって無い人は難しいだろうね、弱くなるね。」

「やはりそうなりますよね」

「どうしても刀法を理解しないと無理だからね、剣道だけしかやってないのに、説明無しで日本刀で畳表を初めて切るとまぁ切れないね。10人試して1人切れればいいかな?」

「そんなですか?」

「でも畳表には当たるんだよ。間合いの取り方は良いんだよ」

「はぁ?ある意味、剣道という武術ですね」

「そう言えるね」


「居合はどうですか?」

「居合の形しかやってない人に、畳表に一度刀を付けて振りかぶって切らないで、歩いて行って畳表を切らせると間合いが分からず空振りしたりするんだよ」

「相手がない空間居合の弊害ですね」

「正にエア居合だね、ただの刀法の踊りとなってしまうね、健康の為なら良いけどね」

「なかなか難しいものですね」

「相手が居る武術をやっていて居合を稽古するなら良いけどね」

「ですね」

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