6 握り・真向(まっこう)
翌朝、木刀を持って庭に出る。このバカ三男の身体が動かな過ぎなので作り直す必要があった。古流の剣術の経験があるので記憶はあるのに身体は動かない状態だ。
工藤さんの家に伝わる剣術があるので、それを教わる事になった。今までの経験をリセットする良い機会だ。
この世界には光剣と言う魔道具?魔法?があり、それを騎士が使っているらしいがダメらしい。
最終的に本物の剣には敵わないそうだ。
どうせ俺には光剣は使え無いので実剣でラッキーだ。
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翌日から国中の憧れ、谷の剣者の秘技とされている[フィーア・トーア・クンスト]の稽古が始まった。
右手を前、左手を後にして握る。
木刀の楕円の頂点に親指と人差し指の付け根が来るように握る。
柄下の右手の小指から左手の人差し指の間3 〜5センチ間を開け、左手を右手と同じように握る。
この時握った親指が人差し指より前に出ること、決してじゃんけんのグウの様な親指になってはいけない。
グウの握りはハンマーグリップと言って手首の柔軟性が失われ、スムーズな技を振るえなくなる為だ。
しっかり木刀を握り両足を揃え、そのまま木刀を大きく振りかぶり20回ゆっくり大きく振る。
次は肩幅ぐらいに両足を開き20回ゆっくり振る。
次はもっと両足を広げ20回ゆっくり振る。
次は右足を軽く出して20回振る。
もう少し出して20回振る。
大きく出して20回振る。
次は左足を出して大きく振りかぶって20回振る。
軽く出して20回振る。
大きく出して20回振る。
ポイントはしっかり振りかぶりゆっくり真っ直ぐ大きく振る事だ。
次は頭の上ぐらいに剣を立てる、いわゆる上段という構えになり振りかぶりで切先が下がらないように左右に倒れないように真っ直ぐ構える。両足を揃えゆっくり真っ直ぐ20回振る。
右足に前少しだす同じく20回。
もう少し開いて20回
大きく開いて20 回
左足を前同じく20回。
もう少し開いて20回。
大きく開いて20回。
ポイントはゆっくり真っ直ぐ。切る時に上段から更に後ろに振りかぶる動作はしない事だ。
これは毎日、朝夕行う。
2ヶ月後、2.5メートルの棒を80センチ埋め170センチほど出す。本当はコレにタイヤでも括り付けると良いそうなのだが、ここには無いのでしょうがない。
上段に構え3メートルぐらいから普通に歩いて来て右足を前にして打つ。上段に素早く構え足を踏み換えて打つ。
左右打ったら上段に構え元の場所に下がる。この縦の立て木の面打ちを50回今までのメニューにプラスする。
腰の高さに横たわった複数の横木の台を作る。
これもタイヤがあればそれでもいいそうだ。
(タイヤ万能だな)
上段に構え3メートルぐらいから歩いて来て、左右足を踏み換えて横木を打ち、上段に構え下がる。この真向の横木打ちを50回プラスする。
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[ダジュール国王宮]
「何!あの谷の剣とが弟子を取ったと!」
王宮内がざわつく。
『誰が!お目にとまったんだ!』
「コート国コキーユ・ナガト様にございます」
「何と!あの馬鹿で有名な三男か!」
「嘘であろう!」
「噂とは違うのか!」
「至急、調査員を送り監視せよ!」
「はっ!」