1 お決まりの異世界転生です
「・・・・あれ?」
「三枝長門さん目覚めました?」
「ここは?」
「いわゆるあの世です」
「・・・えっーと・・・神様?」
「八橋です」
「はぁ?」
「八橋夕子です」
「えぇっと・・あぁ、今日入社してウチの部に来た新人さんか?」
「はい、でも地球に転校して来た?別世界の神?みたいな者ですね。まぁ留学生ね」
「はぁ」
(会話になるのか?コイツ・・・)
「ゆうこりんです!」
「は?」
「今後はゆうこりんと呼んで下さい」
「はぁ・・・」
「はぁじゃあ無いです!はい、声を出してどうぞ!」
「・・・ゆうこりん?」
「よく出来ました!良い響きです!ところでどこまで覚えてますか?」
「えーっと確か社ビルの屋上から飛び降り自殺するのを制止して、バランス崩して一緒に落ちたのか?」
「正確には屋上で私が転移を使ったのよ。そしたら飛び込み自殺と勘違いしたあなたが、止めようとして足を滑らせて、勝手に落ちて死んだと言う次第です」
「・・・それは私が悪いのか?」
「いえ私です。こっちの神にこっぴどく怒られました。ゆうこりんがっくりです」
「じゃあコレはもしかして異世界転生って流れか!?」
「そんな感じですね」
「私の世界の王族で、嫌われ者の三男がいます。ちょうど刺されて死んだので、死にたてほやほやのその体に、生まれ変わってもらいます」
「嫌われ者って所が、非常に気になるけど?」
「気にしなくて大丈夫です」
「そこは気にしますが?」
「チッ、細かいやつ」
「ゆうこりん舌打ち?」
「いえ、何でもありません。この男は王族に関わらず、攻撃魔法が使えないのでグレちゃったんです」
「魔法あるんですか?王族にも関わらず魔法が使えないのは、立場が無いのでは無いですか?」
「魔法が全てじゃ無いので、他で頑張ればいいんですよ。甘っちょろいんですよ。ノブレス・オブリュージュを理解しなさい馬鹿です」
「正論です」
「まぁ記憶も受け継ぐので笑ってやって下さい」
「それはキツイ」
「でも記憶があった方が楽ですよ?」
「ほら、記憶喪失って手も使えるかな?だと思って」
「その手は記憶があっても使えますよね?フリすれば良いから」
「そうだね・・・」
「魔法ですが生活に必要な生活魔法は誰でも使えますよ。種火起こしたり水は1リットルぐらいしか出せませんが便利ですよ」
「へぇー!」
「ちょっとした傷や病気を治すヒールは教会の聖職者が使えます。聖魔法と呼ばれ万能薬のポーションが作れます」
「万能なんですか?」
「そんな事あるわけ無いです。何となく万能薬に近いかなぁって感じです」
「葛根湯的な?」
「即効性や強さは葛根湯より何倍もありますが、効能とかはそんな感じですね」
「魔道具とかはあるんですか?」
「ありますよ魔道具師は尊敬される貴重な職業です。人数も少ないので貴族が専属にする為に高額で契約されますね」
「どういった人がなれるのですか?」
「単純に魔力量の質ですね。代々職人の家は出やすいです。教会で自分の向いている職業ジョブを教えてくれますよ」
「なるほどさすが異世界・・・あと魔法が有ると言う事は科学は進んで無い?」
「無いです。しょうもないぐらい停滞している世界ですね」
「神であるゆうこりんがそれを言っちゃまずいですよね」
「良いんです。わかっているから勉強の為、地球に留学してます」
「そういう事か!?」
「勉強家なのです!」
「あと攻撃魔法とは?」
「光剣ですね。30センチぐらいの筒状の魔道具に力を注ぐと、増幅された魔力が集約し剣になります。三男はその能力がありません」
「それはひどい・・・ライトサーベルは世界中の男子憧れなのにな」
「でもそういう人は魔法が身体強化の方に流れているので、鍛えれば身体能力はトップレベルになりますよ?魔法の流れが普通の人と違う方向に流れて居るのです。コレが悪いと言う訳ではありませんよ?」
「それは分かりましたが乗り移る?に当たりチートはあるのかな?」
「ありません」
「1ミリも?」
「ありません」
「・・・行くの嫌なのですが?」
「じゃあ死にます」
「・・・・・はぁ〜」
「地球での身体能力などは引き継ぎません。例えば稽古していた剣術の能力はリセットされ、馬鹿三男には引き継がれません。ただ地球での記憶は引き継ぎます」
「・・・普通だね」
「普通ね」
「馬鹿三男の名前は?」
「マティアルオーギャストプディングルだけど?」
「長っ!長すぎ!兄弟もそんなに長い?」
「短いわよ。祖父が頑張っちゃったらしいわよ?」
「絶対に書き換えて下さい!「ナガト」で!!」
「良いわよ?じゃナガトね」
「何歳ですか?」
「同じよ?17歳。じゃあもう良い?向こうに行っても?」
「あの、同じって37歳ですけど?」
「あまり変わんないでしょ!」
そりゃ神様のゆうこりんと比べればそうでしょ!はぁ〜それにしてもチート無しかぁ・・・」
「チッ!うるさいわね!じゃあしょうがないから私の第一番目の信者してあげるわよ!」
「押し付け信者ですか!?」
「えーっとどうやるんだったかしら、そもそもやった事無いのよね・・・名前を付けて体液を与えるんだったかしら?さっきナガトって名を上書きして付けたわね」
ゆうこりんがいきなりキスをして舌を入れてくる。
俺の舌をまさぐり絡める。
(死んだ妻依頼のキスがコレか・・・しかも人間でも無い・・・)
「これでオッケー!やったわナガトは私の一番弟子よ!」
「おい、信者じゃ無いのかよ!」
「・・・?、同じでょ?」
「じゃ頑張って!」
「えっちょっと!」
「あっ私の像作って祀りなさい!」
「アーメンか?」
「日本の神社と一緒で良いわよ?じゃあねー」
「おい!ちょっと名前は!」
「ゆうこりんって言ってるじゃん!じゃ!」