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赤と青

はじめまして夜兎です。

素人な上、初めてストーリーを書いてみたので誤字脱字・不可解な文章あるかもしれませんが楽しんで頂けたら嬉しいです。

ギャグ要素を所々入れられたらいいなと思います。

バチ、と頬を叩かれる。‥また何か違えてしまったのだろう。

ジンジンと痛む頬を押さえ手を上げた人物に視線を向ける。

「‥申し訳ありません。おかあさ‥」

「お黙りなさい。気持ちの悪い瞳。悪魔に見初められただなんておそろしくてたまらないわ。」

血液のように赤く染まったこの瞳。これが忌み嫌われることなど等に知っている。

世界は魔力に満ちているが魔法は使えるものは一定数だ。

魔法が使える者は北の国。

商売に長けた者は東の国。

魔法は使えなくとも知恵や武力の強者が集う南の国。

そして、人ならざるものが暮らす異界の西の国。

また、世界には悪魔と天使が存在し、悪魔と天使は自分が気に入った者に祝福を与える。悪魔に祝福された者はその証として赤い瞳を持ち、強力な闇魔法を使えるようになる。しかし、その力の代償としてか寿命がつきるのが早い。

一方天使に愛されると青い瞳を持ち、光魔法を使えるようになる。天使に祝福された者は長生きできるという。

私は6歳の頃悪魔に見初められ祝福されてしまった。私の母は私を産んだと同時に亡くなり、父は母親殺しで悪魔に見初められたどうしようもない私を捨てた。父はこの国一番の商人であり、貴族だった。商会の名をヴェルナーといい、東の国では知らない人はいないほど名を馳せていた。私が住む東の国は商業の国。父は自分の商会を弟であるビューランド伯爵一家に渡し、その家名も私も捨てた。私は弟一家に毎日奴隷のように、ぼろ切れのように扱われた。それでも、風をしのぎ何か食べれるだけ幸せだと思った。

そんなある日。


「‥貴女に縁談が来ているわ。南の国の第一王子からよ。」

「っ!わたしに‥ですか‥?」

信じられない。と目を見開く。

南の国は武力の国。力こそ全てである実力主義のなのだ。齢11歳にしてそんな野蛮な国に咲く、一輪の花といわれている南の国の第一王子と言えば世界の女性が彼を愛すこと間違いないと言われるほどの美貌を兼ね備えた人物だ。‥私は一度も見たことがないけれど。

ドンっ!と扉が勢いよく開かれる。

「どう言うことなのお母様っ!!お父様から聞いたわっ!どうしてわたくしではなくお姉様なの!あの方にふさわしいのはわたくしよっ!」

綺麗なピンクの瞳に雫をため頬を赤くしてそう訴えるのは私の妹。オリビア。

「あぁ‥可哀相なオリビア。私の娘よ。どうしてこんなのが選ばれて私の可愛い子が選ばれないのかしら‥。‥‥お前はもういいわ、早くどっかにいって頂戴。」

「‥失礼致しました。」

そういわれてしまえば今日の仕事はもう終わっているのだろう。私は部屋に戻っていった。





「‥私が妃に‥‥」

部屋にある汚れてくもった鏡に映った自分の姿を見る。

今年11歳と言うには肉つきが悪く痩せた体に、手入れのされていない銀髪、いじが悪そうなつり上がった目。極めつけに悪魔に愛された証である赤い瞳。

「‥‥どうして私なんでしょう。」

オリビアは金髪の綺麗な髪を二つに結び、いつもフワフワと揺れるドレスを着ている。

私は何一つ敵わない。

「‥‥こんな私を愛してくれるのかしら。」

‥こんな出来損ないでも。




数日後、私は王宮に招かれた。そして初めて彼を見て一目惚れした。

グリーンの瞳に透き通るような白い髪。少しタレ目でどこか儚げな表情。誰もが彼を愛するだろう。

「っ、わっわたくしは、貴方様の妃になります、ローズと申しますっ‥‥!」

貴族の礼儀作法を知らない私にお義母様が手配して下さったメイド達にみっちり叩き込んもらったおかげで何とかこの日までには形になっただろう。

ドレスの裾を持ち、膝を曲げ頭を下げる。

ここ数日まともに寝らずに体に叩き込んだせいか少しふらつく。

そんな無様な挨拶に王子のメイドはくすくすと笑う。

顔が赤く火照るのを感じる。やはり、私は何をやってもダメみたいだ。でも、そんな私を庇うように彼は言う。

「こら、そんな風に笑わないで。僕のお嫁さんになるんだから。僕はエリック・オルモード。」

銀色の髪に口づけをされる。

「‥貴女を幸せにしますね。ローズ。」

ふわりと優しく微笑まれる。

そっと頬に手を当てられ、心音がうるさいくらい頭の中で鳴り響く。

パチリと目が合うと彼は一瞬絶対零度のような目をした。

「‥綺麗な瞳ですね」

そんな彼の一言。

悪魔の祝福はいつも嫌われている。存在自体が呪いのようなものだからだ。なのに、そんな呪いを綺麗と言ってくれた。

きっと、きっと彼なら。私を愛してくれる。

だから、私はただひたすらに努力した。


彼の目的なんてしらずに。


彼と出会って数年がたった。しかし、王宮のメイドの態度はこの国の妃にとるような態度ではなかった。そしてメイド達は私が伯爵の家から連れてきた専属のメイドは私に嫌気が差したのだと相談もなしに伯爵家へと戻っていったと言う。そのメイドの名前はメアリーと言い、伯爵の屋敷内で唯一私に優しくしてくれる大切な人だった。そんな彼女が勝手に私から離れるはずがないと、必死に訴える。

そんな私の話を一蹴しメイド達は笑う。

メイド達の態度には腹が立つが事実、私は役ただすのままだ。

メイド達はこそこそと楽しそうに話し、口を開く。

「ぁぁ、そういえばローズ様、しっかり立場をわきまえて下さいね?貴方はこの国の力となればよいのですから。」

「‥わかって‥いるわ。」

南の国は力の国。だから、殿下は強力な力である悪魔の祝福が欲しかっただけなのだろう。しかもそれがヴェルナー商会の娘となれば尚、良好な縁談だ。商会からの資金と、私の力両方を使える。だからなのだと、そんなことずっと昔に気づいていた。

それでもいつか、そんな利益なしでも心から私を愛してくれると思っていた。

「ローズ。」

悔しくて下を向いていた時、愛おしい彼の声がした。

「っぁ‥旦那‥様」

にこりと、彼は笑うとそっと私の耳元で言う。

「今夜もしっかり僕の元へ来るように。それくらい、出来るよね?ローズはいいこだから。」

よしよしと頭を撫でられ幸せを噛み締める。

‥‥ほら、大丈夫。愛されてるから。

なんて夢見心地だった。


深夜、王宮の地下にある魔法訓練が行える広場で、私はひたすら闇魔法の練習をしていた。


「‥‥また、ダメなの?」

びくりと肩を震わせる。

「も、申し訳ございませ‥‥」

そういい終わる前に髪を思い切り捕まれぐいと顔を近づけられる。

「ローズ、君は僕の何?」

普段の優しい彼の本性。獣のような瞳で私を睨み付ける。きっと一つ返事を間違えればすぐに噛み殺されてしまうだろう。

「っ貴方様の‥この国の‥兵器、です。」

ずっとずっと刷り込まれてきた答え。

そう答えると彼は満足そうに綺麗な顔で微笑み、髪から手を離す。

「そうだね、ローズ。君はこの国の力なんだ。いや、きっとこれからは世界のものになる、わかるよね?」

こくりと頷くことしか出来ない。

「北の国‥魔法に満ちた夢のような平和の国。そんなのはつまらない。だってこの世界は力が全てなんだもん。だから、ね」

優しく抱き寄せられる。

「ローズは僕の味方で居てよ、僕のために力を使えるよね?」

幼い子供のように言うのだから、私はただそれに従うだけ。貴方が私を必要としている限り、側にいるだけ。たったそれだけのお飾りなのだ。

それでも彼のために一生懸命だった。少しでも隣にいてはずかしくないように、力ではなく私を欲してくれるようにと、毎日毎日、努力した。

どんなことがあろうとも、自分を殺して、妃を作り上げたのだ。



いつからか人々は言う。

南の国の妃には感情が欠如していると。

魔法も巧くは使えない。

だからまぁしょうがないと言えばしょうがないのだが。


「ローズ、僕と婚約破棄してくれない?」


本来なら私との婚約を正式に結ぶためのパーティーだつた。

‥でもそれは彼の一言であっという間に婚約破棄パーティーと化した。殿下と初めてあった日から早五年。

私は16歳となり、今まで殿下のためにこの身を捧げてきた。

欠落した感情は元には戻らない。私は泣くことも怒ることもしなかった。いや、出来なかった。

「‥‥。貴方の望みならば。」

「エリックさまぁ~」

さっさとこんな会場からは姿を消してしまおうと会釈をして頭を下げた瞬間聞こえた声にぞわり、と背中に冷や汗が伝うのがわかった。

「オリビアもう疲れちゃいました~‥ってあれぇ?もしかしてお姉様ぁ?」

猫なで声で殿下と腕を組む女。

その瞳は、青く光輝いていた。

‥あぁ、またこうやってオリビアは愛される。自分なんかと違って。

「‥‥久しぶりね、オリビア。」

そう言うとオリビアは驚いたように目を見開き、そしてニヤリと笑った。

「あら、お姉様ぁ、いつからわたくしにそんな風に口を聞くようになったのですかぁ?」

青色の瞳は弧を描く。

そして告げる。

「わたしくしはこの国の妃ですのよ?」

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