菅原道真は怨霊を救いたい
延喜三年（九〇三年）二月二五日、菅原道真のところに林田道真が訪れた。
「早速ですが、あなたの力を貸していただきたいことがあるのです」
「ほう、何でしょう？」
菅原道真は興味深そうに言った。
「この辺り一帯に怨霊が出るという噂があるのです」
林田道真は神秘的な表情で話した。
「怨霊！？」
「はい。それで困っているのです」
「それは大変だ。すぐに調べよう」
菅原道真は真剣な表情で言い、すぐに調査に取り掛かった。
二人は村々や森林を巡り、証言や霊的な現象を集めた。ある夜、二人は忌まわしい場所へ足を踏み入れた。荒れ果てた廃屋がそびえ立ち、そこからは悪意に満ちた気配が漂っていた。
「ここが怨霊の巣窟のようです」
林田道真が言った。
「うーん……。確かに何か邪悪な気配を感じるぞ」
しばらく探ってみたが、何も出てこなかった。
「おかしいなあ。何もいないようだ」
菅原道真は疑問を抱いた表情を浮かべながら言った。
「やはりただの噂に過ぎなかったみたいですね」
林田道真も同様に肩を落とした。
「でも、念のためもう少しだけ探してみるとするか。何か根本的な原因があるかもしれない」
二人は諦めずに調査を続けた。その結果、ひっそりと立ち並ぶ墓地を見つけた。草が茂り、墓石は荒れ果てていた。菅原道真と陰陽師は墓地の中を丁寧に歩き回り、墓石に刻まれた文字を読み取った。
「これは過去の人々の墓だ。彼らが何か未解決のままこの世を去ったのかもしれない」
菅原道真が言うと、林田道真も同意した。
菅原道真は心を込めて手を合わせ、亡くなった人々の霊に対して語りかけた。
「心に残る何かを解決しましょう。あなたたちが望むことがあれば、どうか教えてください」
すると墓地に微かな光が現れた。亡くなった人々の霊が一つ一つ顔を出し、様々な願いや未練を伝えてきた。道真は丁寧に話を聞き、亡くなった人々の願いを受け止めた。
「私はあなた方の願いを叶えるために尽力します。未解決の問題を解決し、あなた方の魂を安らかにすることができるように努めましょう」
二人は墓地に住む霊たちの願いを叶えるために奔走した。彼らは遺族を探し出し、事実を確認し、争いや疑いを解決するための儀式を行った。亡くなった人々の魂は少しずつ安らぎを取り戻し、墓地からの邪気も消えていった。二人の努力が実を結び、怨霊の噂は徐々に風化していった。
二人は墓地の一角に小さな祠を建てた。そこには亡くなった人々の名前が刻まれ、彼らの思い出を大切にするための場所となった。この出来事を通じて、菅原道真は人々が抱える心の闇を理解し、その苦しみを救うための力を深めた。菅原道真は人々の心の闇に寄り添い、その苦しみを理解することで、助ける手を差し伸べることができることを感じ取った。心の闇に包まれた人々の悩みを聴き、共感し、励ましの言葉をかけることで、彼らの心に光を差し込む存在となった。
