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菅原道真はいろは歌で冤罪を訴えたい

道真の心には孤独と静寂に加えて、冤罪で死ぬという無念が深く刻まれていた。道真は自らの文章で冤罪の無念を表現し、世に訴えようとした。その作品が「いろは歌」である。

「色は匂へど散りぬるを我が世誰ぞ常ならむ有為の奥山今日越えて浅き夢見じ酔ひもせず」

仮名文字四七文字を重複させずに並べた歌である。仮名の学習に使う歌であるが、七字で改行すると以下のようになる。

***

いろはにほへと

ちりぬるをわか

よたれそつねな

らむうゐのおく

やまけふこえて

あさきゆめみし

ゑひもせす

***

この行末の文字をつなげると「咎無くて死す」となる。冤罪によって罪もない人が死ぬ悲劇が込められている。


道真は自らの苦悩を歌に込めることで、その思いを人々に伝えようとした。道真は冤罪の苦しみを知る者たちの心に寄り添う存在となることを願っていた。道真の「いろは歌」は京で広まった。人々はその美しい言葉に魅了され、道真の作品が持つ深い意味を理解し始めた。道真の歌は、ただ美しい響きや言葉の並びだけではなく、内に秘めた感情と闘いの意志を含んでいた。


道真の歌は人々の心を揺さぶり、彼らに勇気と希望を与えた。その歌は冤罪で苦しむ者たちの声となり、社会の闇を照らし出す存在となった。一方で京の中には権力や陰謀が渦巻いていた。道真の歌が持つ力と影響力が、ある人々の嫉妬と恐怖を引き起こした。

「このままでは道真の歌によって我々の権勢が揺らぎかねない」

「彼の影響力はますます増していくばかりだ。我々は何か対策を講じるべきだ」


大宰府の役人は道真を詰問した。

「お前の歌が問題視されている。社会に混乱を招くものと見なされているのだ」

道真は驚きながらも、冷静に対応した。

「私の歌は人々の心に希望を与え、真実を伝えるものです。それが世の中に混乱をもたらすとは思えません」


道真は苦悩の中で詩を綴り、自分の内なる声を表現することを決意した。ところが、言論封殺の矛先に遭い、自由に詩を作ることを禁じられた。かつて彼が愛した詩の世界が彼から奪われ、心の闇は深まるばかりであった。それでも道真の心には闇夜の中でも輝く一筋の光があった。禁じられた詩の言葉は道真の心の激情を吐露する窓となり、道真は闇夜の詩人となっていった。道真の詩は禁じられた声でありながら、人々の心の奥底に秘められた感情を代弁する存在となった。


道真の詩集は密かに口伝えで広まり、手抜きされた紙片に書かれた詩が手から手へと渡された。それは真実の声を求める人々の希望の一線であり、道真自身の魂の叫びでもあった。その詩は宮廷人の間でも話題となり、禁じられたものとしての価値が高まった。道真の名前と詩の力強さは広まり、彼は闇夜の詩人として称賛されるようになった。


道真は無実を天に訴えるため、試練に臨んだ。身の潔白を祭文に書き、七日七夜天拝山山頂の岩の上で爪立って、祭文を読上げ天に祈り続けた。祭文は道真の心の中から湧き上がる真摯な思いとともに、空高く舞い上がり始めた。その祭文は天高く舞い、神々の領域にまで達した。


天界では祭文の言葉が広がり、帝釈天や梵天ら神々は、この異例な出来事に驚き、道真に「天満大自在天神」との尊号を与えた。この尊号は特別な称号であり、道真はその選ばれし者となった。この知らせは地上に広がり、人々は驚愕した。道真は無実を天に訴えた結果、神々から直々に賛同された。彼の名声は一気に広まり、多くの人々が彼の無実を信じるようになった。


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