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藤原時平は呪詛したい

藤原時平は道真への怨みと憎しみに燃え、心に秘めた怨念を解き放とうとしていた。

「あいつさえ現れなければ……」

時平は悔しかった。

「もう我慢できない。今すぐ殺してしまおう」

苦悩の中で、時平は自身の感情に抗えなくなり、思い切った行動に出ることを決意した。

「よし。早速、手配しよう」

時平は道真の死を願う者を集めさせた。集まった者達の前で、時平は堂々と立ち上がり、彼らに向けて演説を行った。

「皆も知っているように、菅原道真は麻呂の命令に従わず、逆らっている。そこで、今日は君たちに集まってもらったわけだが……。我々の手で道真を亡き者にできるなんて、こんな名誉なことはあるまい」

時平の言葉は、集まった者達の心に黒い熱情を燃やさせた。彼らもまた、道真を憎む者達であり、彼の存在を排除することに執着していた。


心ある人は時平に諫言した。

「どうしてこんなことをなさるんですか? 道真殿は無実なのに……」

「うるさい! あいつのせいでどれだけ苦労したと思っておるのだ!」

しかし、時平は怒りに震えながら脊髄反射的に反論した。

「苦労などしておりませんでしょう。むしろ、道真殿のお陰であなたの地位は向上しました。彼は優れた政治家であり、世の中を良くするために尽力されてきました」

「彼のお陰で我が地位が向上したと言っても、お前は麻呂の立場を理解できぬのだな」

「それがどれほどの無念さを生むことか。冤罪を続けることが朝廷のためになるとは限りません。むしろ、朝廷を弱体化させる危険があります」

「お前がそれを理解できないのは、地位に執着がないからだろう。これが政治の厳しさだ。朝廷の未来のためには、時には厳しい選択をせねばならぬのだ」

「しかし、道真殿が無実であることを知りながら、彼を殺すことが朝廷を発展させる道だとは思えません」

「黙れ!とにかく、麻呂はこの手で道真を殺すと決めたのだ」

時平は憤りを込めて叫んだ。

「そんな……無茶苦茶です。道真殿は国のために多くをなされてきたのに、なぜ彼を殺すのですか」

心ある人は困惑しながらも、時平の決定が無茶苦茶であることを伝えた。

「麻呂の決定を覆すことは誰にもできぬ。お前もよく考えてみろ。それでは」

時平はそう言って取り合わなかった。


ある晩、時平は自身の屋敷で陰険な呪詛の儀式を行うことを決意した。部屋には薄暗い明かりしか灯りがなく、時平は忌まわしい言葉を呟きながら、邪悪な祈りを捧げようとしていた。

「道真め、お前は死に急ぐことになるだろう。不名誉な最期がお前を待っている」

しかし、時平の呪詛は失敗に終わった。その瞬間、屋敷に異変が走り、冷気が室内を支配した。時平は自らの狡猾な計画が何かに阻まれていることを感じた。

「なんということだ…呪いが効かないのか?」

時平は驚きと怒りを交えた表情でその場に立ち尽くしていた。そのとき、部屋の隅に微かな光が差し込んできた。光は次第に明るくなり、時平の周りに奇妙な輝きが広がっていった。すると、突如として現れた幻影が時平に語りかけた。

「悪しき心で呪詛を試みる者よ、この呪いは通用しない。貴様の憎しみには報いが待っているぞ」

時平はその幻影の存在に驚愕した。彼の呪詛が宇宙の摂理に抗い、通用しないことを悟った瞬間だった。

「何者だ、お前は!?」

時平が叫ぶと、幻影は微笑みながら消え去った。その後、屋敷は再び静寂に包まれ、時平は呪詛が失敗したことへの挫折感と、未知の存在に対する畏怖が心を揺さぶった。この出来事が時平の心に新たな疑念を植え付け、時平の運命に影響を与えることになるのだろうか。


時平と工作員達は密かに道真の行動を監視し、彼を抹殺するための手段を探り始めた。暗殺者の選抜や経路の確認、作戦の詳細など、細部まで注意深く計画が進められていった。

しかし、時平の心の奥底には何かが引っかかるものがあった。彼はかつての道真との関係を思い出し、彼が持つ政治家としての才能や人間性について再考し始めた。

時平は少しずつ心に疑念を抱きながらも、決断した計画を実行するために一歩を踏み出した。道真の運命は、時平達の手によって決まることとなるのだった。


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