菅原道真は大鯰を退治したい
道真は人々から直接陳情を受けた。沼周辺で大鯰が顔を出して通行人の邪魔をしているとの話を聞いた。
「うーむ、これはどうしたものだろうか……」
道真は頭を悩ませた末、太刀で大鯰に対峙し、頭、胴、尾と三つに斬り退治した。大鯰の遺体はそれぞれ鯰石となり、地元の人々は雨を降らす雨乞いの石として大切にした。
道真の勇敢な行為は、沼周辺の村で大いなる称賛を浴びた。村人達は道真に感謝と尊敬の念を抱いた。
「道真さん、本当にお見事でした!あの大鯰を一人で退治するなんて、勇気に溢れていますね!」
「そうですよ!我々の安全を守ってくれた道真さんには感謝の気持ちしかありません!」
道真は謙虚に微笑みながら、村人達に対応した。
「皆さん、お褒めの言葉をありがとうございます。ただ、私はただの員外帥に過ぎません。ただ、やるべきことをやっただけです」
村人達は道真の謙虚な態度にさらに感銘を受けた。
「それでも、道真さんの勇気や力には助けられたんですよ。大鯰が出没することがなくなり、村の安全が守られています」
「そうです!ですから、私たちは道真さんの偉業を称えたいのです。お礼として、何かできることはありませんか?」
道真はしばらく考え込んだ後、思いついたことを口にした。
「実は、雨乞いの石として有名になったあの鯰石について、もう少し詳しいことを知りたいのです。その由来や意味について教えていただけませんか?」
村人達は驚いた表情を浮かべつつ、一人が道真に答えた。
「あの鯰石は大切な存在です。昔、この村には雨が不足して困った時期がありました。そんな時、あの大鯰が現れ、雨を降らせてくれたのです。その遺体も鯰石として大切にします」
「なるほど、そのような由来があったのですね。私もその意味を理解しました。では、もしよければ、鯰石の近くに案内していただけませんか?」
村人達は喜んで道真を鯰石の場所へ案内した。
「道真さん、ここが鯰石の祀られている場所です。毎年、私たちはここで雨乞いの祭りを行うことにします」
鯰石の周りには花が供えられ、人々の祈りが込められていた。道真は鯰石をじっと見つめながら、心に湧き上がる思いを口にした。
「この鯰石は、この地域の人々にとって、生命の源とも言える存在なのですね。雨を降らせ、豊かな収穫をもたらしてくれると信じられているのですね」
村人達は頷きながら応えた。
「そうです。この地は水が不足しがちで、農作物には雨が欠かせないのです。ですから、私たちは鯰石に祈りを捧げ、雨乞いの儀式を行うことで自然の力を請い、水を得ようと思います」
道真は深く考え込みながら、村人達に問いかけた。
「もし私が、この鯰石の意味やその力をより多くの人々に伝えることができたら、皆さんはどう思いますか?」
村人達は驚きの表情を浮かべながら、一人が言葉を紡いだ。
「道真さん、あなたの知識と教えは尊いものです。私達は喜んで受け入れます」
他の村人たちも頷きながら、道真を励ました。
「そうですよ!私たちも、この地の宝である鯰石の意味を多くの人に伝えたいと思っています。道真さんがそのお手伝いをしてくれるのなら、心から感謝します」
道真は村人達の熱意に背中を押され、喜びを感じながら答えた。
「私も喜んでその役割を果たします。この鯰石の力や意味を広め、人々の生活に豊かさをもたらせることができれば、これ以上の喜びはありません」




