藤原時平は冤罪を正当化したい
時平と彼の取り巻き達は、冤罪の達成に満足していた。時平は自らの野心に取り憑かれ、道真を排除することが彼の障害を取り除くことになると考えていた。
「これで邪魔者がいなくなった」
時平は笑みを浮かべながら言った。
「道真を追放できたことで少しは気が晴れたな」
取り巻き達は祝杯をあげた。
「さあ、これから忙しいぞ」
時平は声を大きくした。
「まずは道真に代わる人材を探すことだ。今すぐにだ！」
時平は権力の座に就くことしか考えていなかった。自身の野心を達成するためには手段を選ばない冷酷非情な人物であった。
「お前ら、何としても見つけ出せ」
時平の声は大きくなっていった。
「この国のためにも必要なのだ」
時平は大真面目であった。しかし、この時、道真の名誉を守るための闘いが始まったことを時平達は知らなかった。人々が道真への信頼と支持を示し、彼の名誉回復への願いが広がっていった。
藤原菅根らは道真の悪口を吹聴しまくった。
「道真は、ただの卑怯者だ」
「道真は、学問の天才かもしれないが、政治の才能はない」
「道真は、才能はあるが、人望がないから、誰もついてこない」
「道真の左遷は当然の結果だ」
道真の部下達も同調圧力で道真のことを悪く言う者が出てきた。それでも擁護意見が圧倒的であった。
「道真さんの左遷は仕方ないことだと思うわ」
これは一見すると道真を支持しないように見えたが、その言葉には悲しみと同情が込められていた。
「道真さんも悪いところがあったと思うし……」
この言葉は道真の問題を認めるものではなく、むしろ道真が人間であることを認めるものだった。発言者は道真を尊敬し、道真の失脚に心を痛めていた。
「でも、あの人はいい人だったよ。私達にも親切だったし」
道真が彼らに親切であったことは、周囲の多くの人々が共有する気持ちであった。道真の人柄や温かさは、道真の評判を支える大きな要素であり、菅根の中傷を打ち消す力となった。
「そうね。道真さんは立派な方よ」
この声には確信と敬意が込められていた。発言者は道真の行いを長い間見続けており、彼が政治の舞台で立派に振る舞ったことを認めていた。
「道真さんが可哀想だよ」
この発言は道真が不当に扱われたことに対する同情と怒りが込められたものであった。発言者は道真が自らの信念に従って行動し、そのために報いを受けたことを憤慨していた。
道真の名声と人望はますます高まり、彼を支持する声が広がっていった。
「道真さんは、本当に素晴らしい人だったもの」
この言葉には感嘆と敬意が込められていた。道真の徳行や人間性は、多くの人々に感銘を与え、彼を卓越した存在として讃えた。
「道真殿がいないと朝廷はどうなるのか？」
この言葉には危機感が滲み出ていた。道真が抱えていた政治的な才能や洞察力は、朝廷の安定と発展に大きく貢献していたことが認識されていた。
「道真殿がおられないと朝廷は大変なことになる」
発言者は道真の不在がもたらす混乱や危険性について警鐘を鳴らしていた。道真の存在が朝廷の統治の軸となっていたことは明白であり、その穴埋めは容易ではないと感じられていた。
「道真殿がおられるからこそ、我々は安心して政治を任せることができた」
彼らは道真の指導力と信頼性によって、平穏な政治を享受してきた。道真の存在が彼らに安心感をもたらし、彼の喪失は大きな不安を引き起こすことになった。
「道真殿がおられなかったら、我々などただの人ではないか」
この言葉には道真の存在が彼らのアイデンティティや価値の一部であったことが反映されていた。道真の導きや指導によって、彼らは自身の存在に誇りを持ち、政治的な参加意欲を高めてきた。
「道真殿がいたからこそ、今の平和な世の中があったのではないか」
この言葉には感謝と敬意が込められていた。道真の政治的な才覚と道徳的なリーダーシップは、平和と繁栄をもたらした要因であった。
