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菅原道真は家集を献上したい

道真は右大臣となったことを報告するため、左大臣藤原時平の屋敷を訪れた。

「よく来たね、道真君」

時平は道真の到着を喜びながら言った。

「はい、ご無沙汰しておりました」

道真は謙虚な態度で頭を下げながら答えた。

「今日はどういった用件かな?」

時平は興味津々の様子で尋ねた。

「実は、私、右大臣になりまして……」

道真は緊張しながら告げた。

「ほう、それはすごい」

時平は驚きつつも、道真に敬意を示した。

「それで、是非、ご挨拶したいと思い、参上いたしました」

「それは、それは。ようこそおいでくださいました。私からもおめでとうと言わせてもらいます」

時平は喜びの言葉をかけた。時平は表向き嬉しそうにしていた。しかし、内心では道真への警戒心が芽生えていた。道真が帰った後で時平は独り言ちた。

「道真が学問に優れ、才能豊かな人物であることは認める。しかし、いくらなんでも、学問だけで出世するのはおかしい。何か裏があるに違いない」

実際、宇多上皇が道真を右大臣とした理由は、左大臣・藤原時平を牽制するためであった。


道真は長谷寺の僧侶に和歌を贈った。

「道真様、おめでとうございます」

僧侶達は道真に祝福の言葉をかけた。

「この度の私の栄達をお祝いくださりありがとうございます。皆さんのお力添えがあってこそ、私はここまで来ることができました。心から感謝しています。これからもますます勉学に励みたいと思います」

道真は喜びの声を上げた。道真は周囲の人々からの支持と祝福に励まされ、自身の努力が報われたことを実感した。


道真は右大臣となると、自身の経験と知識を活かし、改革と人々の生活向上に向けて積極的な行動を起こした。道真は公正な裁定と善政の実現に努めた。公正な政治を志し、特権的な権力の乱用や腐敗を根絶するための政策を打ち出した。


道真は不正行為や汚職に厳しい処罰を与えることで法の信頼性を回復させた。これによって官僚の腐敗や不正が減少し、道真の下での政治は清廉潔白なものとなった。また、農民や商人の利益を守るために、土地の分配や税制の改革を行った。これにより、特権階級の圧迫から解放された人々は生活の安定と発展を享受することができた。


道真は自身の改革の成果を確認するため、官庁の中を巡回した。道真が図書寮に入ると、役人達が忙しく働いていた。彼らは改革の成果を誇りに思い、真摯な態度で公務に取り組んでいた。その中にはかつて不正を行っていた者達もいたが、道真の指導の下で改心し、正直な仕事に邁進していた。

「お前は以前、不正行為に関与していたはずだが、最近は真摯に公務に取り組んでいるようだな。何が変わったのか、教えてもらえるか?」

道真は一人の役人に声をかけた。

「道真様のお導きにより、私たちは改心しました。道真様の公正さと厳しい処罰は、私たちに道徳の重要性を教えてくれました。今では正直な仕事に誇りを持っています」

役人は緊張しながらも、真摯な表情で答えた。

「お前の言葉は私の心に響く。このような変化が広がっていることを知ると、私の改革の意義を再確認する。お前の努力に感謝するとともに、これからも公正な政治を続けていこう」

道真は満足げな笑みを浮かべながら言った。

「道真様のご尽力に感謝申し上げます。私達も尽力致します」

役人は深く頭を下げながら言った。


道真は右大臣になった後も文学や詩への情熱を忘れず、祖父の菅原清公すがわらのきよきみ、父の菅原是善すがわらのこれよしと自分の文章や詩をまとめた家集を作成した。道真は家集を醍醐天皇に献上することに決めた。道真は家集を大切に包み、内裏に向った。道真は緊張しながらも、家集を醍醐天皇の前に差し出した。


天皇は興味津々で家集を手に取り、頁をめくっていった。道真は自身の詩作に自信を持っており、天皇がそれに触れてくれることを期待した。醍醐天皇は一つ一つの作品を読み進めていった。その表情には喜びや驚き、感動といった様々な感情が交錯していた。道真は緊張と期待を胸に秘めながら、天皇の反応を見守った。


家集を読み終えた醍醐天皇は、口を開いた。

「道真よ、この家集は素晴らしいものだ。君の祖父の古典的な作品は優れた才能を感じさせるし、君自身の創作も驚くべきものだ。ことごとく金の作品である。これを朕に献上したこと、心より感謝する」

道真は醍醐天皇の言葉に胸がいっぱいになった。自身の努力と才能が認められ、褒められることは何よりの喜びであった。



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