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菅原道真は昇殿制を提案したい

道真は宇多天皇に天皇親政の仕組み作りとして昇殿制を提案した。律令制度は位階によって身分を定めている。五位以上を「通貴」と称し、貴族と位置付けた。しかし、位階の価値は時が経つにつれて下がり、五位以上がインフレ状態になった。貴族らの中にはその制度に疑問を抱く者も増えていた。


「臣、菅原道真、言上いたします。このままでは、律令制度の秩序が乱れ、貴族たちの中で混乱が生じることが懸念されます」

「道真、そなたの言には一理ある。現行の制度では通貴の価値が失われると感じている。どのような改革を提案するのか?」

「新たな制度を創出し、貴族たちに新たな価値を与えるべく、昇殿制を導入したいと存じます。四位や五位の者たちから昇殿を許され、その中から帝が認めた者を殿上人として任命し、帝の身辺に仕えさせるのです」

「殿上人とは、どのような役割を果たすのか?」

「殿上人は帝に仕える身分として、蔵人頭の指揮の下で殿上の間に常駐し、輪番制で宿直や陪膳に勤めます。これにより、昇殿を許された者たちが特別な地位にあることを示せます」

「なるほど、新たな風を朝廷に取り入れる手段として、この昇殿制は良い案だな。しかし、どのように昇殿を許す者を選ぶべきか?」

「それは帝のご判断におまかせいたします。四位や五位の者たちの中から、帝がお選びいただいた者が殿上人となり、その身分は一代限りです。代替わりの際には、再び昇殿するには新たな帝の改めての勅許が必要となります」

「なるほど、それならば私が気に入った者達を選び、新たな秩序を築いてみよう」


昇殿制によって朝廷に新たな風が吹き始めた。天皇が自らの側近を作り、親政を進めるためにも、この制度は理想的であるとされ、朝廷の秩序は一新されることとなった。殿上人達は、天皇の身辺での奉仕を通じて特別な地位を得る一方で、その選出は宇多天皇の個人的な選好に依存していた。


ある日、宇多天皇と道真は再び昇殿制についての話し合いを行った。

「道真、昇殿制が朝廷に新たな風をもたらしているようだ。しかし、殿上人の選出にはどうしても私の好みが反映されてしまう。これでは公正さが欠けるように思える」

「その点に関しては臣も考慮しております。公正な選出を保つために、臣は新たな仕組みを提案いたします」

「なにか新しい提案があるのか?」

「はい。臣は、昇殿を望む者たちが試練を経て選ばれるような仕組みを考えました。たとえば、文学や武芸、そして政務などの分野での才能を競い合い、その結果をもとに昇殿を許す者を決定するのです。これにより、帝の個人的な好みだけでなく、実力や功績に基づいた選出が可能です」

「なるほど、それならば公平性が確保されそうだな。試練を経ることで、真に有能である者が昇殿を許されるということか」

「はい、陛下。臣は公平かつ実力主義の原則を重視し、昇殿制をより正当なものにするための提案でございます」

「良い提案だ。詳細な仕組みを練り、実行に移そう。この新たな昇殿制によって、朝廷の秩序と公正さが一層強化されることを期待している」

こうして、宇多天皇と道真の共同の努力により、昇殿制は新たなフェーズに進化し、公平性と実力主義が重視された朝廷の制度が確立された。これによって、朝廷の中での競争が活性化し、真に優れた人材が台頭することとなった。


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