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宇多天皇は寛平の治を行いたい

京に戻った道真は、宇多天皇の御前に出た。

「この度は帝の招きに応じて参上しました」

「おお、そちが菅原道真か。噂は聞いているぞ」

宇多天皇は期待に満ちた声をかけた。道真と会うことができ、宇多天皇は嬉しかった。

「恐縮です」

道真は謙遜の言葉を口にすると、宇多天皇は気さくに返答した。

「なかなかの働きぶりだと聞いている。これからも励むがよい」

「ありがたき幸せ」

道真は感謝の意を表すと、宇多天皇は彼とともに酒盛りを始めた。宇多天皇と道真、二人は笑顔を交わしながら、酒宴を楽しんだ。宇多天皇と道真の仲の良さを見て、人々は驚いた。宇多天皇は道真を信頼していたし、道真も宇多上皇を敬愛していた。その和やかな雰囲気は、彼らの互いを理解し合い、尊重し合う姿勢から生まれたものだった。

酒宴が進むにつれ、宇多天皇と道真の会話はますます深まり、彼らの絆は強固なものとなっていった。宇多天皇と道真の友情が、朝廷や都に新たな風を巻き起こすこととなるのだろう。平安の夜に広がる宴の中で、歴史は新たな章を刻み始めていた。


宇多天皇の治世を寛平の治と呼ぶ。藤原基経は寛平三年(八九一年)正月一三日に亡くなった。これでようやく宇多天皇が政治を行うことができるようになった。宇多天皇は臣下達との会議を開いた。道真もまた、その会議に招かれた。道真は緊張と期待を抱きながら朝廷に足を踏み入れた。宇多天皇は落ち着いた佇まいで道真を迎え入れ、道真の手柄を称えると共に、道真に新たな責務を任せることを告げた。

「菅原道真よ、お前の勇気と知恵には心から感謝している。お前は人々のために公平な統治を行い、問題を解決する力を持っている。私はお前を重用し、朝廷の中でも活躍してもらいたいのだ」

道真は謙虚に頭を下げながら、宇多天皇に感謝の意を表した。

「光栄に思います。私は人々のために奉仕することを使命とし、帝のご信任に応えるために尽力いたします。どのような任務でも全力を尽くし、君が代の繁栄と安定を願っております」

宇多天皇は満足そうな笑みを浮かべた。宇多天皇の反応から朝廷では道真に重要な役割を与えるという意外な展開についての噂が広まっていた。


ある日の朝廷で宇多天皇は道真に話しかけた。

「道真、君には新しい役割を考えているんだ」

「お言葉に感謝いたします。どのような役割でしょうか?」

「お前を蔵人頭にしよう」

「蔵人頭ですか?ありがとうございます。しかし、私が蔵人頭になるのは異例では…」

道真は驚きながらも喜びの表情を浮かべた。

「異例でもいい。お前の知識と意見が欲しいんだ」

「光栄に思います。ただ、私は学者の出身であり、蔵人になるのは少々…」

「それがいいんだ。変化を求めているのさ」

宇多天皇はニヤリと笑った。道真は初めての役割に戸惑いながらも、宇多天皇の期待に応えるべく奮起することを決意した。

蔵人頭は天皇の最側近となる職である。朝廷において政治を行う機関は太政官であった。律令において太政官と天皇は独立している。令外官の蔵人は天皇が太政官の手続きに縛られずに自由に天皇の意思を通しやすくするために設置された面があった。



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