菅原道真は普請工事を中止したい
道真は支出の削減にも取り組んだ。道真は讃岐国府に官人を集めて普請工事の中止を提案した。
「皆さん、ご覧ください。この巨大な役所の普請工事、果たして本当に必要でしょうか？」
道真は眉をひそめながら語った。
「しかし、この工事は地域の経済を活性化させ、雇用を促進します。重要な投資ですよ」
讃岐判官は驚きと不満の表情を浮かべて反論した。
「大掛かりな普請工事は巷の景気を浮揚させる効果があります」
他の官人も讃岐判官に同意した。
「その結果、私たちの国の庶民はますます困窮し、税金の負担が増えているのではないでしょうか？肥太るのは親方ばかりで庶民の懐は潤しません。その者と役人が結託し、世の中は益々悪くなります」
道真は厳しい視線を官人らに向けた。官人らは道真の言葉に耳を貸さず、自分達の立場を主張し続けた。
「税金は民の血と汗の結晶です。財源は天から降るものではなく、労働の成果です。官人達はその重みを理解せず、浪費を繰り返しています。民間ではあり得ないような無駄遣いでも恥と思いません」
讃岐判官を含む官人らの顔には、やるせない表情が浮かんでいる。しかし、彼らは依然として自己の利益を最優先に考えていた。
「我々は責任ある行動を取らねばなりません。税は世の繁栄のために使われるべきです。無駄遣いをなくし、庶民のために使うことこそが、真の公正さです」
道真の言葉は官人らの心に響いた。
「我々の行動が民の負担となっていることを再認識させられました。道真様の言葉に、その深い意味があります」
「私達は庶民のために責任を果たさなければなりません。税金の使途を見直し、無駄をなくすことで、財政を健全なものにしましょう」
室内には協力と理解の雰囲気が広がり、道真の指導のもと、問題解決への道が切り開かれた。
道真は讃岐国内での農業生産力を増強するために、灌漑用水路を整備したり、農地開拓を行ったりした。道真は現地の役人任せにせず、自ら現地に赴いて確認した。道真は自らの足で歩き、現地の状況を把握して改善策を考え実行した。
道真は林田郷を訪れた。道真は豊かな自然に恵まれた林田郷で、もっと農業生産力を高めることができるはずだと考えた。道真は地元の農民達と対話するために、村の広場で集会を開いた。そこには、多くの農民達が集まった。
「皆さん、今後の農業生産力を高めるためには、どのようなことが必要でしょうか？」
道真は問いかけた。
農民達は様々な意見を述べ始めた。
「水不足が問題です。水をもっと使えるようにしてほしい」
そこで、道真は灌漑用水路の整備を提案した。
「水を供給するために、水路を整備することが必要です。そのために、皆さんの協力をお願いします」
農民達は、道真の提案に賛成した。彼らは、水路の整備に必要な手伝いをしたいと言った。数週間後に灌漑用水路の整備作業が始まった。農民達は、道真の指示に従い、一丸となって水路を整備した。彼らは、自分達の手で水路を作ることで、農業生産力が向上することを信じていた。道真は、農民達と共に、水路を作る作業に参加した。彼は、農民達と同じように、汗を流しながら、水路を作り上げていった。水路が完成すると農民達は大喜びした。彼らは、この水路によって、作物の収穫量が増え、生活が豊かになることを期待した。
「これで、水不足の問題が解消されました。これからは、もっと多くの農地を開拓して、より多くの作物を栽培しましょう」
道真は農民達に語った。農民達は、道真の言葉に感銘を受け、一層の努力を約束した。彼らは農地開拓を進めていった。
「道真様のおかげで生活が良くなりました！」
「菅原様、あなたは素晴らしい方だ。私はあなたのことを尊敬します」
「恐れ入ります」
農民達は道真の改革により、生活が安定し、豊かになっていくことを実感し、道真に感謝する人が増えた。道真は讃岐国司として善政を敷いたため、次第に人々から慕われるようになった。
