菅原道真は役人の腐敗を是正したい
道真は林田郷を訪れ、農民らと直接対話し、彼らの声に耳を傾けた。
「税金が増えて、私たちはますます貧しくなっているんだ。でも役人たちは悠々自適で、贅沢三昧な生活を送っているんだよ」
人々は嘆いていた。
道真は漢詩を作った。
「投餌不支貧 売欲充租税」
漁師は魚をとっても貧乏のままである。税金ばかりが取られると。民衆が辛酸をなめている時に役人だけが甘い汁を吸っていた。役人の税金の取り方は恣意的であった。ルールに基づいた公正性や透明性は皆無であった。役人達は空虚であった。
彼らには目的意識がなかった。ただ漠然と日々を過ごしているだけであった。彼らにとって人生の意味や価値はなかった。あるのは役職と金銭への執着のみであった。
道真は嘆息するしかなかった。
「讃岐国の民よ、すまぬ!」
道真は心の中で詫びた。そして、この国に平和をもたらすために自分ができることは何だろうかと考えた。道真は人々の苦しみを理解し、改革の必要性を確信した。
「官を省き、役を止める」
道真は国府の庭を静かに歩きながら、光仁天皇の政策を心に留めた。無駄な官を廃止して出費を減らし、農民への労役を軽減し、農民の没落を防ごうとした。
「民のために働く役人が私腹を肥やしてはならない」
それが道真の持論であった。道真は役人が権限を悪用することを恐れた。道真は讃岐国府で腐敗と悪徳に満ちた役人達の姿を目の当たりにする。
ある日、道真は偶然にもある役人達の秘密の取引を目撃した。彼らは公金を横領し、贈収賄を行っていた。さらに、この悪徳な行為が広がっていることを知り、道真は強い憤りを感じた。
道真は自分の手で、この悪事を正すことを決意した。彼は公正さと清廉さを貫き、不正を行っていた役人達を徹底的に追及した。彼の調査の結果、役人達の悪事が明るみに出て、多くの者達が罷免された。
道真は「不正・汚職は厳罰に処す」という姿勢を示した。役人が職務で罪を犯した場合は機械的に罰を倍にした。道真は役人達の処分を通じて、新たな人材を登用し、清廉な行政を目指した。
このために道真には役人からの人気はなかった。
「何でこれほど嫌われるのだろう」
道真は不思議に思った。
腐敗官吏達は道真を疎ましく思った。彼らは道真を悪く言った。
「何だ、あの野郎! 俺達に厳しくしておきながら、あんなに偉そうにしやがって」
「あいつは自分だけいい思いをしているんだぞ」
「そうだ、そうだ」
彼らは口汚く罵り始めた。
「許せねえなあ……」
「あいつは讃岐国の恥さらし者だ。あんな奴がいるから讃岐国はダメになるのだ」
彼らは口々に不満を言い合った。道真は彼らの言葉を聞き流した。
「どう思われても仕方がないさ。私はただ、自分が正しいと思うことを行っているだけだからね。私は諦めないぞ。いつか必ず、この国を正しい姿に戻してみせる」
道真は決意を新たにした。道真は自分の信念に従って行動し続けた。その結果、多くの人から支持されるようになっていった。