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三善清行は藤原時平と面会したい

文章博士の三善清行は時平に相談が必要だと感じていた。清行は時平の権力を頼りにしている面が多かった。時平の助言が重要と感じた清行は、彼に会いに行くことを決めた。時は早朝で、まだ日が昇る前の静かな時間帯だったが、清行は重要な用事故に、慌ただしく身支度を整えて時平の屋敷に向かった。


時平様の屋敷には立派な門がそびえ立っていた。清行は丁重に門番に声をかけ、緊張と期待が入り混じった気持ちで時平に会いたい旨を伝えた。


「あの、すみません」

「何でしょうか?」

「時平様にお会いしたくて参りました。何卒よろしくお願いいたします」

「申し訳ありません。今は無理です」

門番は清行の願いを聞き、丁寧に応じたが、時平が今は会うことができない旨を告げた。清行は少し落胆したが、諦めることなく尋ねた。

「それでは、いつ頃ならお会いできるでしょうか?重要な用事があるため、なるべく早くお目にかかりたいのです」

「申し訳ありませんが、今は時平様にはお会いいただけません」

「どうしてだ?」

「時平様は、現在病気で伏せっております」

「時平様の病気は重症なのでしょうか?治る見込みはありますか?」

清行は心配そうに問いかけた。

「はい、時平様の病気は重篤です。医者たちも治療に苦慮しており、回復の見込みは立っていません」

門番は深刻な面持ちで答えた。

「そんな……」

清行は落胆した。時平に会うことができないとなると、他に頼れる人がいない。


「どうしよう……」

清行は、頭を悩ませていた。

「どうかしましたか?」

そこに、一人の少年が現れた。その少年は、まだ十代前半ぐらいで、とても可愛らしい顔つきをしていた。清行は心細くて困惑していたが、少年の出現に少し安心した。

「実は、時平様に用事があって来たのですが、時平様は病に伏しているらしくて……」

「そうですか。それは大変ですね」

「はい。何とかならないものかと思いまして……」

「うーん……」

少年は考え込んだ。そして、何か思いついたようだった。

「私に任せてもらえないでしょうか?」

「本当ですか」

「はい。ですから、あなたの名前を教えてくれますか?」

「私の名は三善清行です」

「分かりました。では、三善さん。ついてきてください」

「分かった」

清行は言われるままに少年についていった。少年は森の奥深くにある小さな神社へと案内した。その神社は一般の人々からはあまり知られていない秘密の場所であった。神社には神秘的な雰囲気が漂い、神々の存在を感じることができた。

「ここが私たちの目的地です。この神社には特別な力を持つ神様がおられます」

少年が説明した。清行は興味津々で周囲を見回した。

「特別な力を持つ神様が本当にいるんですか」

少年は笑みを浮かべて答えた。

「はい、信じがたいかもしれませんが、私たちの世界には不思議な力を持つ存在が存在するのです」

少年は神社の中の小さな部屋に案内した。

「ここなら大丈夫でしょう」

「ここで何をするんだ?」

「まあ、見ていてください」

そう言うと、少年は呪文を唱え始めた。すると、部屋の中にあった壺の中から煙が出てきた。そして、その煙は、やがて人の形になっていった。

「これは一体どういうことだ?!」

清行は何が起きたか理解できなかった。


人の形は時平の顔をした。その両耳から二匹の青龍が現われて語った。

「無実の罪で大宰府に流されて死んだ私は、今や天帝の許しを得て怨敵に復讐するため京に舞い戻ってきた。お前の息子は時平のために加持祈祷をしているが、どうせ無駄なことよ」

「まさか、これが菅原道真なのか!?」

清行には信じられなかった。だが、目の前で起こったことは事実である。青龍は菅原道真その人であった。道真は冤罪による悲劇的な過去を語り始めた。道真は天帝の許しを得て、怨敵への復讐の機会を与えられ、天帝の加護によって一時的に青龍の姿に変えられた。


「なぁ、もしよかったら名前を教えてくれるかい?」

清行は恐る恐る尋ねた。

「いいですよ」

少年は答えた。

「僕の名前は菅原力と言います」

「えっ……。ということは、君は道真公の子孫ということかな?」

「はい。僕は子孫です。でも、僕だけではありませんよ。他にもたくさんいます。皆、道真の恨みを忘れないで生きています。だから、安心して下さいね」

少年は笑みを浮かべながら言った。

「そ、そうなのか……」

「さようなら」

少年は去っていった。


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