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藤原時平は病から逃れたい

時平の心には異変が生じていた。時平は苦悩の中、自身が追放した道真によって呪われたのではないかという思いが頭をよぎった。時平の夢には道真の影が覆いつくしていった。そこで時平は屋敷の庭でひとり立ち尽くしていた。そこに現れたのは、冤罪被害者である道真であった。その姿は静かな怨念に包まれており、時平の心を打った。

「時平よ、お前の行いは許されることではない。私の心はこの世に未練を残し、お前の罪を訴えるために戻ってきた」

時平は顔を地に伏せ、深い悔恨の念に打ち震えた。

「道真よ、お前の冤罪は私の愚かな行いによって生まれたものだ。私はお前の名誉を守ることができず、お前を追放してしまった。今さら謝っても、取り返しのつかないことをしたことに変わりはない」

時平は自らの行為が人々にどれほどの苦痛を与えたのかを思い知り、罪の重さに苦しむことになった。時平は冤罪をでっち上げた自分を恥じて、病になった。


「ぐわぁー!」

時平は苦しみだした。彼の顔色は青ざめ、全身が痙攣し、呼吸が乱れていた。

「どうしたんだ? 急に苦しみ出して……、おい、誰か医者を連れてこい!」

屋敷にいた人々は慌てふためいた。時平の苦しみは深刻であった。医師が駆けつけると、彼は時平の診察を始めた。しかし、試す薬や治療法は効果を示しませんでした。医者は深刻な表情で頭を抱え、時平の苦しみを和らげる方法を見つけるために考え込んだ。

屋敷の人々は彼を救うためにあらゆる手段を尽くしたが、天竺伝来の薬や陰陽師の祈祷も効果がなかった。時平の病状は次第に悪化し、瀕死の状態に陥った。


「あのー、すみません……」

そこに一人の薬師がやってきた。

「何でしょうか?」

「実は薬を持って参りました。これです……」

「ああ、ありがとうございます……」

時平の家司は礼を言うと、薬師から受け取った袋の中を見た。そこには、何種類もの薬草が入っていた。しかし、薬草の効き目もなかった。それらの薬草には様々な効能があると言われたが、時平の病状には効果がなかった。


薬師は時平の寝室に入り、時平の病状をじっくりと観察した。時平は深い呼吸を繰り返していた。薬師は時平の過去の行為が現在の病気に関連していることに気付いた。

薬師は時平の病気を解明するため、彼の過去を調べ始めた。彼は時平が冤罪をでっち上げたことや、それが人々にどれほどの苦痛を与えたかを知った。そして、時平の罪の重さが彼の心と体に深い傷を与え、病を引き起こしているのだと結論付けた。

薬師は時平に真実を告げることに決めた。彼は時平の寝室に戻り、彼の横に座って静かに話し始めた。

「あなたの病は罪の意識によって引き起こされているのです。自分が犯した誤りや他人への苦痛を思い知ることは辛いことですが、それが癒しの第一歩なのです」

時平は弱々しく目を開け、薬師の言葉に耳を傾けた。


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