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藤原菅根に冤罪の報いを受けさせたい

藤原菅根は菅原道真の冤罪に一役買ったが、その野心も惨めな結末を迎えようとしていた。彼は宇多上皇の参内を阻止し、道真の左遷を実現した張本人であったが、雷の神の祟りに遭い、その野心と悪行が天罰によって終焉を迎えることとなる。


菅根は延喜八年(九〇八年)正月、参議への昇進を果たした。彼は地位の上昇による喜びを胸に抱き、自身の野心を増大させた。菅根は狡猾で冷酷な性格であり、権力への渇望が彼を駆り立てた。彼はその地位を利用して更なる権力の高みを目指し、人々の恐怖と不安を抱かせた。


国は重い雲に包まれた。人々は不気味な空気を感じ、何か大きな出来事が訪れる予感に怯えた。その中で菅根は自身の権力をほこり、不正と暴虐を繰り返していた。


しかし、同年の十月、天は雷という形でその怒りを示した。突如として暗雲が立ち込め、雷鳴が轟き、閃光が闇を照らし出した。雷光が菅根の姿を照らし、その身体は電撃によって打ち抜かれ、彼は命を落とした。大地は轟音と共に揺れた。


菅根の死は国中に衝撃を与えた。人々の間で道真の怨霊の祟りとささやかれた。道真は左遷されることで憤りと悲しみを抱え、天候を操る力を持った怨霊とされた。その力が雷となって菅根に降りかかり、彼を倒す結末となった。


菅根の死によって過去の罪と腐敗が露わになった。彼の最期は、まさに天からの裁きとも言えるものだった。人々は彼の死を目の当たりにし、その悪行が罰せられたことを実感した。過去の闇が晴れ、新たなる未来の光が差し込んでくるような感覚が広がっていった。菅根の死を通じて、人々は権力への警戒心を強め、冤罪をなくし、公正を求める道へ進むことを決意した。


道真が天候を操る力をもった怨霊とされたことには、そこには讃岐守時代の雨乞いの祈祷もあるだろう。この年は旱魃が各地を襲った。旱魃が各地を襲い、人々の命と農作物に深刻な影響を及ぼしていた中で、道真の怨霊は天候を操作し、自然界に均衡を取り戻そうとしていた。


雷神は時平の頭上でも荒れ狂った。時平は冷静さを保ち、天を見つめながら巧妙な言葉を口にした。「生きている間は麻呂が左大臣で、道真公は右大臣と麻呂が上であった。雷神になったとしても、この世では麻呂に遠慮しなさい」


その言葉が響き渡ると、雷神の勢いが一気に鎮まった。暴れ狂っていた雷光と轟音は急速に収束し、天空には穏やかな静寂が広がった。人々は時平の言葉に驚嘆し、その知略に敬意を抱いた。しかし、道真の怨霊は時平に遠慮したわけではなかった。官位の序列に従っただけであった。あくまで形式的な序列に則って行動しただけであった。


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