林田道真は怨霊に怒りたい
「これは一体どういうことだ!?」
林田道真は怒りを抑えきれずに怒鳴った。
「これは、これは、林田様。お久しゅうございます」
部屋の奥にいた男が挨拶をした。
「お前は誰だ?」
林田道真が尋ねた。
「私ですか? 私の名前は晴明です」
男はそう名乗った。
「晴明だと!?」
林田道真は驚きの声を上げる。
「はい。あなたの子孫ですよ」
「子孫?」
「はい。私の父は、あなたの師匠にあたる人物です」
「ならば、お前には何か特別な力があるのか?」
晴明は控えめに頷いた。
「はい、私は霊的な存在や邪気を感じ取ることができます。また、陰陽道の術を駆使して、疫病や厄災の除去、運勢の鑑定なども行えます」
「なるほど。そういうことだったのか」
「それで、今日は何用でしょう?」
晴明は穏やかな声で問いかけた。
「怨霊の話を聞いたので見に来たのだ」
林田道真は少し困惑しながら答えた。
「怨霊!?それは興味深い話ですね。確かに、この地域には霊的な存在が現れることもあります。しかし、怨霊の存在については確かめる必要があります。どうぞ、ご案内いたします。怨霊の存在を確かめてみましょう」
晴明は静かに笑いながら、部屋の奥に手招きした。林田道真と菅原道真は興味津々で晴明に続き、部屋の奥に進んでいく。足音が響く中、三人は一室の奥にたどり着いた。
「何もいないではないか」
「怨霊ならここにいますよ」
林田道真の問いかけに晴明は笑って答えた。
「なにぃ!?」
林田道真は驚いて後ずさりした。林田道真と菅原道真は驚きの表情を浮かべながらも、状況を理解しようとする。
「本当に君が怨霊なのかい?」
菅原道真は林田道真の前に出て尋ねた。
「はい。私が怨霊です。肉体を離れて霊的存在となり、怨念に満ちたエネルギーを持っています」
「どうやら、本物の怨霊のようですね。どうしてこのようなことをしたのですか」
菅原道真が尋ねた。
「私の怨念が具現化したこの怨霊が、私の憎しみと破壊の念を引き起こしました。私の過去の感情が暴走し、この地に恐ろしい惨劇をもたらしてしまいました」
「なぜ苦しみを背負っているのですか。あなたの心の傷を癒し、安らぎを与えることができる方法はないのですか」
「ありません。あなたを憎むからですよ」
「な、なんだって!?」
菅原道真は驚いて声を上げた。
「私はかつて、陰陽道の術を使って多くの人々を助ける役割を果たしていました。しかし、あなたは私の存在を脅威と感じ、私の力を妬んでいたのです」
「私はそんなことをした覚えはない」
菅原道真は困惑しながら言った。
「それはあなたが意識していなかっただけでしょう。しかし、私の心にはあなたに対する怨念が積もり積もっていきました。その私の怨念が具現化し、この怨霊となりました」
晴明は苦い笑みを浮かべて続けた。
「私はあなたのことが大嫌いだったんです。怨霊として呪い殺してやりたかったんですよ。でも、なかなか死なないんですね。それで仕方なく生け贄を用意することにしました」
「くそっ!!」
林田道真は悔しげに歯噛みした。




