林田道真は怨霊を退治したい
「どうしてこんなことになったのですか?」
「実は、私は怨霊に取り憑かれてしまったのです」
「怨霊だって!?」
菅原道真は思わず叫んだ。驚きと衝撃を隠せなかった。
「どうして怨霊に取り憑かれてしまったのですか?」
林田道真は深い呼吸を続けながら、少女に問いかけた。
「実は、私の家は代々、ある呪いによって悩まされてきたのです。何世紀も前に祖先が犯した罪が、私達家族を苦しめ続けていたのです。その呪いのため、私には怨霊がつきまとっていたのです」
少女は恐怖心と悲しみが入り混じった表情で語り始めた。菅原道真は彼女の目に宿る真実の痛みを見て、その言葉に耳を傾ける覚悟を決めた。
「怨霊の影響で、私の家族や使用人たちは次々と不可解な死を遂げていきました。私は家族のためにも何とか呪いから解放される方法を探し、祈り続けましたが、結果は逆効果でした。怨霊はますます私にとり憑き、私の周りの人々を傷つけていくのです。父も危険にさらされるかもしれないと思い、私は彼を守るために家を出て逃げてきました。しかし、追っ手が迫ってきて、とうとう捕まってしまったのです」
「なんてことだ……」
菅原道真が呆然としていると、林田道真が厳しい口調で言い放った。
「君が怨霊に苦しめられるのは、何の罪もない君自身にとって不公平なことだ。私は君の助けになりたい。怨霊を退治しましょう」
「え!?」
菅原道真は驚いた。
「怨霊を放っておくわけにはいきません。このままでは多くの人が死にます」
「しかし……」
「菅原殿も怨霊の恐ろしさを知っているはずです」
「…………」
「さあ、早く行きましょう」
林田道真はそう言って歩き出した。菅原道真は少し迷ったが、仕方なくついていくことにした。こうして三人は怨霊のいるという屋敷に向かった。
「ここですね」
林田道真が言う。目の前にある家は、確かに禍々しい雰囲気に包まれていた。
「では、入りましょうか」
林田道真は平然として中に入っていく。菅原道真は緊張しながら後に続いた。
「うわぁ……」
菅原道真の口から呻きが漏れた。その目は恐怖と衝撃に満ちており、言葉を失ってしまった。惨状が部屋中に広がっていた。死体が散乱し、血の跡が床や壁に赤く染まっていた。破壊された家具が目に入るたびに、菅原道真の胸に重い圧迫感が広がった。
「酷い……」
菅原道真は目をそらしながら手で口を押さえ、吐き気を堪えようとした。菅原道真はこのような光景を目にしたことがなかった。その残酷さと悲惨さに心が揺れ動き、人間の苦しみと死の無情さに直面した。
「これは…何が起こったんだろう?」
林田道真も顔を歪め、苦悩の表情を浮かべた。彼も菅原道真と同じく、この光景に対するショックを受けた。林田道真はあえて冷静になって一歩ずつ部屋を探索していった。彼は慎重に歩みを進め、一つ一つの死体を目で追いながら状況を把握しようとした。菅原道真は、混乱と絶望が入り混じった表情で林田道真の後ろについていった。




