なんで泣いてるの?
某所 某病院にて とある女の子が誕生する
その子には「トホ」と言う名が名づけられた
そう、それが私の名前らしい
母と父、姉の「シラ」との4人家族仲睦まじく暮らしている
おとーさんもおかーさんもトホが「ないてるこがいるよ」っていっても
「どこに泣いてる子がいるんだい?」といってわたしのいうことをきいてくれない
おそとでえんえんないてたんだよ
だけどトホにしかみえてないの
まえにないてたあのこがまたないてた
「どうしてそんなにないてるの?」
「家にいたオジサンにいっぱい叩かれタの」
「いたかった?」
「うん。いたカった。だけどだんだんいたクなくなって…僕のからだは捨てられちゃった」
「からだがすてられちゃった?でもあなたはわたしとはなしているわ」
「たぶんボクは『ゆうれい』になっちゃっタんだ」
「ゆうれいになったらどうなるの?」
「だれも僕のことが見えなくなっチゃう」
「あら、それはたいへんね!あなたのからだはいまどこにあるの?」
「お寺のうらノ大きな山に捨てられちゃった」
「じゃあそれをちゃんとひろいにいきましょ!」
「じゃあ、僕のからだのあるとこロまで連れてってあげるから大人の人をつれてきて」
「わかった!あなたのおなまえは?」
「コウタロウだよ!きみは?」
「わたしトホっていうの!」
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「おとーさん!」
「トホ、どうしたんだい?」
「コウタロウのからだがおてらのうらのやまにあるからついてきて!」
「コウタロウ?ってだれだい?」
「とってもいたくてないてるの!はやくはやく!」
(普段から可笑しなことを言っているが…いつも以上に真剣な顔してるな。
何かあったのかもしてない、行ってみるか!)
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寺の裏山にて
「こっちこっち!」
「おとうさん!こっちだって!」
鬱蒼と生い茂る木々の中をかいくぐっていく
「これに僕の体が入ってるの。だけど僕は触れないんだ」
「コウタロウがこのふくろに入ってるって!」
「おいおい…まさかそんなこと…。トホちょっと待ってなさいお父さんお巡りさんに電話するから!」
…
おまわりさんがふくろをあけてくれてなかからコウタロウがでてきたの
「みつかってよかったねコウタロウ!」
コウタロウはいなくなってた
その夜
「…ホ。…トホ」
「…コウタロウ?」
「僕の体を見つけてくれてありがとう。」
「これでコウタロウはげんきになる?」
「んーん。これで僕は安心して眠れるよ」
「そっか。ねむってげんきになったらまたきてね!」
「そうだね。本当にありがとう!トホ!」
翌日男児を殺し死体を遺棄した容疑で男が逮捕され同居していた女…コウタロウの母親も逮捕
トホの父親は第一発見者として色々と聴取され翌日はその疲れからか仕事を休んだそうな。
テレビに映った男児コウタロウの顔を見たトホにとって事件の内容を理解するにはまだ難しかった