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転生先でダブルブッキング  作者: 光岳 擇也
2/13

突死んからの転生イベント

 カーテンの隙間から朝日が差し込むのと同時に、目覚ましアラームにより目を覚ます。ベッドから起き上がり、軽く体を伸ばした。今日もまたごく普通のOLの一日が始まった。

 軽めの化粧をし、セミロングの髪を整え、スーツに着替え家を出た。一人暮らしをしているからか、朝食を取るのは休日だけだ。


 「最初の頃は毎日作っていたんだけどなぁ~。。。」


 会社の疲れやストレスが溜まるにつれて、規則正しい生活というものが失われていった。通勤は電車で最寄り駅まで移動し、そこからは徒歩で通っている。

 家を出て耳にイヤホンをする。そこから聞こえるポップな音楽は、まだ少し寝ぼけている人間が目を覚ますためといった目的ではなかった。会社のある最寄り駅で電車を降りる。

 駅を出ると賑やかな都会が目に入る。視界は嫌いではないのだが、、、とにかくうるさい!会社に勤めて1年を過ぎると、車やバイクの騒音、呼び込みやティッシュ配り、学生の大音量の会話など、全ての音を遮断するために津久間リコ23歳は、ポップな音楽を大音量で聞くという選択をしたのだ。


 「晴れ過ぎでしょ・・・」


 休日の晴れは好きだ。洗濯物も乾かせるし、部屋の空気も入れ替えができる。どこかに出かけるにも気持ちが良い。

 ただ、仕事の日は黒いスーツで駅から徒歩のリコは、晴れや雨が嫌いであった。リコは太陽が目に入らないように、下を向きながら歩みを進めた。


 会社が目の前の交差点で、歩行者信号が赤になる。横断歩道の手前でリコは足を止めた。右から小学生男女5人が楽しそうに会話しながら通学している様子を見て、リコは少し笑みを浮かべた。


小学生たちから視線を外し、リコはポケットから携帯を取り、ゲームアプリを起動した。信号待ちの短い時間の中で、ゲームのログインボーナスをもらうためだ。携帯を見るリコには自分以外の信号待ちをしている人が何かに気づき、後ろから来るその何かに視線を向けている事を気付かない。


 その何かは歩道をタイヤが走る音を出していた。キックボードだ。電動式のキックボードを運転する若い男は、特に気にする事もなく歩道を走っていた。


小学生たちが歩く先、青の歩行者信号が点滅し始めた。一人の小学生がそれを確認すると、早く渡るよと促し、小学生たちが走り始める。その様子をキックボードを運転している男の視界には、小学生たちは未だ映っていなかった。

 信号待ちをしている何人かがそれに気づき、注意を上げるのも間に合わず、キックボードの数メートル先に小学生たちが飛び出してきた。


 「なっ・・・!?」


 キックボードのハンドルを切り、男は衝突を回避しようとする。どうにか小学生たちの衝突を避けるもバランスを保つ事ができない。信号待ちをしていた者は巻き込まれないようにその場を避ける事に成功した。


リコ以外は。。。


携帯を見て、音楽を聞いているリコには避けようがなかった。


 「おいっ!どけーーーー!!」


 男は声を上げるもリコは気づかない。崩壊したバランスも限界に達し、キックボードから手と足が離れ、男はリコと衝突した。


 「えっ・・・」


 後ろからの衝突にリコは道路に投げ出された。イヤホンは耳から外れ、携帯もリコの手から離れていた。


 「なにが・・・」


 なにが起きたのか確認しようと振り返ろうとしたその時、大きなクラクションとブレーキ音が聞こえた。次の瞬間、意識が途絶えた。


◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


 意識が途絶え、ブラックアウトした。そこからゆっくり目を開け、まばたきを何回かする。目の前には一人の女性が立っていた。シスターのような装束に身を包み、落ち着いた表情で微笑んでいた。


 「無事、目が覚めたようですね。」


 リコは何が起きたのか整理できずにいた。


 「え・・・っと・・・私は・・・」


 「死んだのです。」


 整理する間もなく、目の前にいる女性はニコっと笑顔で答えた。


 「津久間リコさん。あなたは意識外の後ろからの衝突に道路に投げ出され、車に轢かれて命を落とされました。」


 「後ろからの衝突・・・」


 リコは確かに何かが後ろから当たってきて、道路に倒れた事を思い出した。


 「キックボードという乗り物を運転していた男性が、小学生たちが死角から出てきて回避行動が間に合わずバランスを崩し、その先にリコさんが立っていたんですよ。」


 気付かなかった・・・いや、気付きようがなかった。携帯と音楽により、視覚と聴覚を遮断していたからだ。

 突然のキックボードと車のダブル衝突、突進での突死ん。。。シャレにならない。しかし、目の前の女性から自分の死を言われたが、実感は無い。今こうしているのは生きているからではないのか。

 

 ならば、今リコのいる場所は、、、?と周りを見渡す。


 「何もありませんよ。ここは死後の世界。今あなたは魂の状態でそこにいるのです。」


 辺りは闇に包まれていて、確かにリコと目の前にいる女性しかその空間には存在しなかった。


 「私は・・・これからどうなるんですか?」


 「現状を理解できたようですね。私の名はサリー。リコさん、あなたのように若く、突如命を落とした方々を異世界に転生させる者です。」


 「異世界・・・?転生・・・?」


 サリーから言われた異世界転生。突死んからの転生イベントが始まろうとしていた。

かなりの期間開けてしまい、すみません。保存していたデータがなくなり、作り直しました。その割に進みも少ないですが、少しずつ更新していこうと思っています。

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