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悪役令嬢は開き直って自由に生きます!  作者: アールアイオー
2/5

ミッション1.王子に嫌われるための計画を立てよ

ああもう!絶対嫌だったのに…

なんで王子なんかに嫁がなきゃいけないの…

どうにかして婚約を回避できないかしら?

はっ、そうだわ、私が王子に嫌われたらいいんじゃないの⁉︎

王子に嫌われたら、私に近付こうとは思わないはず。

そうしたら、婚約話もなくなって、私は自由に生きれる…

すごい名案だわ!ぜひそうしましょう!

王子が嫌いなものを寄せ集めたらきっと嫌われるはずね。

早速準備しましょう。

あ。でも私王子が何が嫌いなのか知らない。

それではどんなことをしたら嫌われるのかわからないわ。

どうしたらいいのかしら…

そうだわ、前世でみんなが嫌っていた人のようになればいいのよ!私天才!

みんなが嫌いなんだから、王子もきっと嫌いよね!

じゃあ、早速メモに書いていきましょうっと。

ふんふんふふーんと鼻歌を歌いながらサラサラとペンを動かす。

ドアのところからのぞいているお兄様は気にしない。

ていうか、本当はいつもこんなことをしてたのかしら。

私は家族だからいいけど、他の人にしたらストーカーで犯罪よね。

前世にもこういうひといたわよね…ああいうの他人からされるとすごく気持ち悪いのよね…

そうだわ、私が嫌いだった人の特徴も上げておきましょう。お兄様のおかげで思いついたわ。

お兄様ナイス!

そんなことを思いながら手を動かしていると。

…1つ、2つ、3つ、と大体このくらいかしら。

メモが完成したので読み上げてみましょう



みんなが嫌いだった人の特長

・自分勝手な人

・人の話を聞かない人

私が嫌いだった人の特長

・嘘をつく人

・変態


…私が嫌いだった人T君は、凄く話に嘘を混ぜる人だった。

私の周りには、そもそも嘘をつく人が多かったから、T君だけではないが。

まあ、私には嘘つきに苦い思い出があるのだ。

T君を例に挙げてみよう。

小学生の頃のとある日の話だ。

私とT君はこんな話をしていた。

T君は貯金が1億あると言っていた。

そこで私はとても驚き、ぽかんとしてしまった。

そしてその話を信じてきってしまっていた私はこうアドバイスしたのだ。

「災害で銀行が被害を受けたら、一つの口座につき1000万円までしか支払われないから、10個くらいに分けて貯めておいた方がいいよ」

それを隣で聞いていたクラスメイトが

「いや絶対嘘じゃん。信じちゃダメでしょ。」

そこで初めて、私は彼の言葉が嘘だったことを知った。

T君は絶句しているようで、しばらくしてから言った。

「おい……まさか信じてたのか?プッ」

私は凄くショックを受けたのだ。

笑われたこともあるが、私が今まで信じていたT君の言葉は全部嘘だったかもしれないのだ。

そこで私は彼の言葉は全部嘘だと思うことにした。

だから、中学校の卒業式の日に、校舎の裏に呼び出された時も、なんか罠にかけようとしているんだと思い、無視して行かないことにしたぐらいだ。

最後の最後まで嘘をつこうとするなんて、往生際の悪いやつだった。


まあ、そんなこんなで私は嘘つきが嫌いだ。


友達はT君のことをイエメンだかなんだか言って、きゃあきゃあ言っていた。

きっと彼女達も騙されるのは怖かったのだろう。


上の二つは、とある友達の嫌いな人ランキングの解説中の時の話から抜粋したものだ。

正直私も話を聞かない人は嫌いだし、自分勝手な人も嫌いだ。

つまり私がなるべきものは…自分勝手で話を聞かない、嘘つきだ。

具体的に何になればいいのだろう。

とりあえず一個ずつ考えてみましょう。

まず…自分勝手ってどういうことかしら?

自分で勝手に行動するってことよね。

つまり自分のしたいことを最優先するってことかしら?

次の話を聞かないっていうのは…

無視…っていうのとはちょっと違うわよね。

話はとりあえず聞くけど、その通りにはしない…みたいなことがそうなのかしら?

うん、多分そうね。

まあ、こんな感じでいいのではないでしょうか。


結果をご報告いたします。

私、クライト・シュレティアは、熟孝の末以下のような結論を出しました。

一つ、私はこれから、自分勝手に、自由に行動いたします。

二つ、私は人の助言を聞きません。できる限り意識しないようにいたします。

三つ、王子に嫌われるためなら何でもします!

以上をもちまして、今回の報告を終わらさせていただきます。


んっ。こんな感じでいいんじゃない?

このメモは、私の「くらいとの防災にっき」と名付けたこのノートに貼っつけておきましょう。

これで目標は完成ね。

婚約回避のための第一段階が終了したわね、よくやった私!!

私は人差し指を上に掲げ、反対の手を腰に当て、ビシッとポーズを決める。

ポーズを決めたのなら、決め台詞は必須でしょう!

私は声高らかに叫んだ。

「このノートとともに、私は王子と婚約という災難を回避してゆくのです!!」

ガチャ。

…ん?がちゃ?何の音?私はゆっっくりと後ろを振り返る。

そして私の目は、音の元凶を捉えた。

とうさまがドアの隙間からこちらを伺い、ぶるぶると震えている。

あれ?もしかして、今の聞かれちゃった?

いつからいたの父様!?覗きか!?うちの家族はそろいもそろって変態か!?

ちょっと探ってみようかしら。

と思ったところ、父様が部屋に入ってきた。

「クーラ…今の言葉は本当か?…」

あ…やばいね、完っ全に聞かれちゃってるよ。

私がどう言い訳するか悩んでいると、

「うおおおお!嬉しいぞ父は!お前にもやっっっと里心がついたか!」

と吠えた。

私はとても困惑した。

普通はお説教とかになるのではないの!?

あれ!?

「えっと…嬉しいって、どういうことでしょうか」

「ん!?どういうことって自分のことだろうクーラ。今までは、ずっと早く家を出たいとぼやいていたではないか。」

あれ?そうだったっけ?

まあ、都合が良いのでそういうことにしておきましょう。

「お、おほほ。そうなのですわ父様。いざ、家を出なくてはならないとなって、思いましたの。私の居場所はここなのだと!…ですから、私は王子様との婚約が憂鬱で憂鬱でたまりませんから、ぜひ解消していただきたいのです!父様にも婚約解消のお手伝いをしていただけませんか!?」

すごい勢いでまくし立てる私。父様は若干引き気味だがおかまいなしだ。

そして私の話を真剣に聞いていた父様が重々しく口を開く。

「うむ…クーラがそこまでいうのなら父も手助けしよう。別にとても感激しているわけではなく、な、あくまでクーラのためにやっているのだぞ!あくまでクーラのためだ!」

恩着せがましく何度も「クーラのため」と言い張る父様。

よし、とりあえず協力者その1ゲットだわ!!

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