極彩色の心
少しだけ外で待ってて、と涙の治まった由宇から言われ、俺は病院を出たすぐのところで風を感じていた。
煙草に火をつけて、煙を蒸かす、そんなことでもしてしまいそうな絶妙に落ち着かない気分だった。
まあ、あんな非効率の塊は死んでも吸わないけどね。
得てして俺の中の疑問点が、謎が、これから一気に解消されようとしているところだから浮つくのも仕方がないが、由宇を待つこの時間が異常に長く感じた。
もう焼き弁なら湯切りまでしっかり終わっている頃合いだよ。
それにしても、だ。
髪の色を変えていたとして、どうして俺はデートをしたオースティンが、依頼をした金髪少女であり、由宇であると見抜けなかったのか考える。
たしかに、化粧が違い、髪の毛の色、長さも違い、そして喋り方も違った。
天文学室であった時の金髪は、ぶっきらぼうに俺を呼び捨てし、デート(笑)をしたオースティンはデートの内容はさておき、上品を醸し出す口調であった。
更にいえば、ゲーム画面や創作物の中にしか存在しなかったデートというものを生まれてはじめて経験することによって正常な状態でいられなかったのは事実だ。
要するに俺は非常に緊張していた?
もっと付加するならば金髪の表情をしっかりと観察できたのも昨日の放課後が初めてで、その時も髪の長さや色の変化があり、俺の精神状態も特殊でもあった。
まさか同一人物だなんて考えもしなかった俺は、そうやっぱり、まんまと一杯食わされたってことだ。
真実に近づいたとはいえ何だろうこの敗北感。
橙の空に青紫の塊が流れる景色が今の心情、ああしっくりくる、なんてクサめに詠んでいたところで、手ぶらの由宇が病院から出てきた。
「おまたせ、春枝」
言いながら由宇は腕を上げ俺の斜め後ろを指差した。
振り返って遠くに目をやると、そこには小さな公園があった。




