浮つくブランチ
昨日の晩御飯の残りの母親特製カレーを温め、ブランチを食おうとした頃合いに、今年で中学生になった妹のみゆきを玄関まで見送った。
兄である俺にあんなにべったりだった妹も、中学生になると距離を置くようになり、兄としては少し寂しい。
もうしばらく成長したら、容易に罵声でも吐くようになるのだろう。
幼稚園の頃は「みーは、大きくなったらお兄ちゃんとケッコンする!」なんて言っていたものなのに、いつか邪険にされ、暴言暴力まで飛んでくるようになるだろう。
かくして妹とはそういうものなのだ。
かくして、なんて言っているがすべてネットや経験談の情報の請け合いなんだけれどもね。
しかしそんなシミュレーションのおかげでショックは最低限で済む、のだと思う。
そんな脳内自己妹談義も大きな欠伸で吹き飛び、キッチンでカレーを皿に盛り付け、リビングに戻る。
金髪指定の17時まではあと八時間弱。
三逆駅までは歩いて十分。
部活にも入っていない俺はとくにすることもなく、だらだらと時間を浪費してしまうのが土日の過ごし方だった。
カレーを食い終わったころを見計らってか、脱衣所のほうから大きな声が聞こえてきた。
「あんた暇ならゴミ袋と長ネギかってきてちょうだい」
定期的に母親からお遣いを頼まれるのも土日の定番だ。
これに逆らうと、なんだかんだ文句が始まり最終的に必ずヒス気味に「勉強をしなさい」と諭し文句が飛んでくることが分かっているため、顔をしかめつつも、あいよ、と自室に財布を取りにいった。