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第7話 長良川の戦い・序

前の話もいろいろと加筆修正しました。内容が無い話になってきている気もします。


━━━時系列は少し戻ります



柴田のおっさん………もとい、柴田様に小姓として付かせて貰ってから数週間後。俺は小高い丘の上で長良川を眺めながら、遠い前前世の記憶を辿っていた。俺の知っている長良川の戦いとはこうだ


長良川の戦いとは、斎藤道三とその嫡男の斎藤義龍が長良川にて戦った合戦。ただ、道三に味方した者はほとんどおらず、約17000の兵を率いる義龍に対し道三は2500程の兵しか集まらなかった


両軍は長良川河畔で戦い、帰蝶様の娘婿である信長様が急ぎ援軍を出したが間に合わず、道三はこの戦いで戦死した。ざっくり解説したが、それが史実だ。だが………


俺は戦国の史実を知っている。この先、柴田様や信長様どうなるかも。だが、歴史を変えても良いのだろうか………いや、俺がいる時点で既に歴史は変わっているのかもしれないが


「虎次郎、いかがした?」


「いや、なんでもございません」


虎次郎(とらじろう)。柴田様に小姓として付くにあたり、俺は信長様に名前をつけて貰って元服した。その名前が虎次郎だ。それに名字も貰ったぞ。黒田(くろだ)


俺は虎丸から、元服して黒田虎三郎(くろだとらじろう)になった。ついでに言えば最近、信長様から呼ばれる時は『虎』ってよく呼ばれている


なんでも信長様は、気に入った家臣には短く呼べるあだ名を付けているらしい。そう言えば前田利家様は犬だし、後の豊臣秀吉は猿だったよな


「ところで柴田様?」


「別におっさんで構わんぞ?お前に気を使われていると、なんだか寒気がするわ」


「なら、柴田様のおっさん」


「様をつけるな。更に気色悪い」


「ははははっ。で、おっさん。斎藤家だけど、このまま戦になると思う?」


「十中八九なるな。もはや家中は息子の義龍殿が握っておるとの噂じゃ。すでに道三殿も逃げて兵を集めておる。それに………あれよ」


おっさんが指差した場所には500人くらいの集団が一団となって走っていた。よくよく見ると人ではない。俺の前世からの記憶が正しければあれは


「ゴブリン?」


「は?なんじゃそのゴブリンってのは?よく見てみぃ。あれは小鬼じゃ」


「小鬼?」


「そうじゃ。小鬼は鬼の中でも最弱種で筋力や知能は人間の子供程度の小型の鬼じゃ。じゃが、異常なほどに繁殖力が強く直ぐに増える。小鬼1匹だと余裕じゃが、群れで襲撃してきた時の脅威は馬鹿に出来きん」


それは、まんまゴブリンじゃないか。ゲームとかで良く言われるやつだな。どんな種族の雌とも交配が可能で簡単に妊娠させる。それでいて生まれた子供は成長も早く、短期間でまた交配、妊娠させ増殖する


って、ゴブリンってファンタジー要素全開やないか。あの神様、俺を戦国時代に転生させるって言ってはずだが………まぁ、戦国時代もいろいろか


「で、あの小鬼がどうしたんだってんだ?」


「良くみて見ぃ、あの小鬼共は我々人間の槍や弓等の武具で武装しておる。本来、小鬼は知識が浅い。どう頑張って人のを真似て作っても、粗悪品の武器しか作れん筈じゃ」


「………誰かが奴等に与えたと?」


「その通りじゃな。更に言えば奴等が向かっている先は道三殿の領地。おそらくあれ等は、義龍殿に飼い慣らされた小鬼じゃろうて。おそらく、道三殿の村を襲いに行くのだろうな」


義龍によるゴブリンの特性を上手く使った襲撃か。確かに村を襲う能力に秀でたゴブリン達を使えば成果も良いだろうが………ただ


「小鬼に村を襲わせるのはわかった。だけど、それが普通なのか?清洲城では一切見なかったけど」


「当たり前じゃ。本来小鬼共は、増える前に必ず根絶やしにせねばならない奴等じゃ。奴等は見境なく村や町を襲い、略奪・殺戮を楽しみ、女を拐うからの。だから、人の世の間では魔物を飼い慣らす事は禁止となっておる。全ての人間の間での暗黙の了解でな」


「ならば何故?」


「それよ。この戦、義龍殿は人の道を踏み外してまでやらねば勝てぬ戦ではない。もしかしたら義龍殿の後ろには魔族が付いているのやもしれん」


「魔族………?」


「お前は何も知らぬのだな。織田家の周りで魔族と言えば武田や今川の事じゃ」


「へぇ………」


おいおいおい、どこまでファンタジーなんだよ。魔族とか出て来ちゃったよ。って事は多分、オークとかエルフとかドワーフとかも居るんだろうな


「おっさん。あのまま小鬼が行けば、村はどうなるんだ?道三殿が守るのか?」


「守る事は守るだろうが………兵を出したとしても、襲われた後になるだろうな」


「なら村の人達は………」


「残念だが我等に出来る事はない。他国の領地故、勝手に討伐出来んのだ。それよりも………」


おっさんは顎に手を当ててなにかを考えている。 そんなおっさんよりも俺は襲われる村の事を考えていた。俺がこの世界に転生する前に居たあの村。あの村は盗賊に襲われて壊滅した


盗賊でもやってた事は小鬼達と何も代わり無かったが、俺はあの惨状を知っている。女は拐われ子供は泣き叫び男と共に見境なく殺される。俺はそんな惨状を知っている。だから


「………はっ!?虎次郎っ!急ぎ清洲へ戻るぞっ!もしあの小鬼を義龍殿が先鋒として出しているのであれば、後ろには義龍の本隊がおるっ!戦は目の前じゃっ!」


そう言うとおっさんは馬に乗る為に走り出した。俺はどうするべきか。いや答えは決まっている。この俺の行動で、もしかしたら歴史改変も出来るかもしれない。だけど


いや、既に歴史は違う。俺の存在、そして妙なファンタジー感。ファンタジーに関しては無事に帰ってから市ちゃんに教えて貰うとしても。俺は二度とあの惨状を見たくないんだ


「見たくないんだっ!おっさんっ!」


「なっ、なんじゃ!?」


「俺は、あの小鬼共を引き留めて村が襲われるまでの時間を稼ぐっ!おっさんは急ぎ信長様に兵を出して貰ってくれ!」


「なっ!?お前は織田家の小姓なのだぞ!斎藤家の領地で勝手な戦いなどしてはっ!?」


「戦うの理由など、後からでもいくらでも付けれるっ!頼んだぞ、おっさんっ!」


俺はそう言うと、おっさんから馬をかっさらい小鬼共が向かう方向へと走り出した。おっさんは俺に馬を奪われて呆然として居たが、ハッと我に帰り清洲城へと巨体を揺らしながら走って行った


さて、どうしたものか

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