ep1 Attack on Dead
大学生というのは気楽なもので、単位さえ取れればそのあとは自由だ。
だから進級に必要な単位を取った俺はサボっても問題は無い、つまり少し早めの春休みだと思ってのんびり過ごせばいいのだ。
しかし、家にいてもやる事も無いのでサークル棟で時間を潰すのが得策だ。そう思ってサークル棟の隅にある自動車部のガレージでボロいハンビーを弄ってる訳だ。
ボロいとは言っても、もう動くようにはなっていて、今は塗装作業が終わり乾燥するのを待つのみだ。
お気に入りの音楽を聴きながら煙草を片手に缶コーヒーを飲みながら時計を見る、時計の針は午後2時17分を指している。
そろそろだれか来る頃だろう、そう思った時だった。
「うわぁ!来るな!やめろっ!!助けっ……ぎゃぁぁぁぁぁぁ!」
ガレージの外、学園の外から断末魔の叫びが聞こえてきた。
高い壁に囲まれた学園故、外の様子はここからではわからない。でも、確実に何かが起きたのは間違いない。
サークル棟の3階からなら外の様子がわかるはず、そう思った時にはもう体が動いていた。
階段を駆け上がり、見晴らしのいい天文部の部室の前まで全力で走る。
足を止めた時、目の前に広がっていたのは地獄だった。
炎上する車、人が人を食い、食われた人は人を食らう。
現実味のない光景、まるでゲームや映画のような景色に圧倒された。
数秒で我に帰り思考を巡らせた、こんな時に必要なものは何か?
水、食料、安全な移動手段、そして身を守るための武器……
いや、そもそもこの自体を把握しているのは学園内に何人いる?
誰もパニックになっていない、そうなると誰もこの自体を知らないのか?
混乱しそうな思考を巡らせても答えは出ない。
俺は地獄に背を向けてガレージに戻った、逃げる準備をする為に。