中国古代の王朝~「周王朝」と「礼儀」 その二「拱手」~
古代中国の礼のポーズで有名な物は、「拱手」であろう。三國志の兵士や、始皇帝と熱い友情を見せる漫画に出てくる、片手の拳を握り、片手の平に押し付けるあの形である。割りと近代まで使われたこの形は、感謝や頼み事、了解、敬礼と相手と立場によって意味を変える便利な動作である。一説には、手のひらと拳を会わせることで相手を攻撃出来ない事から相手への害意が無いことを顕す、とも言われている。また、右手と左手を入れ替えることで、不幸事への対応もできるなど、応用もきいている。
おそらくこの「拱手」は最初の「礼」だったのではないだろうか。分かりやすく、友好的な関係を示せて、なおかつ応用範囲が広い。とりあえず拱手をしておけば、失礼には当たらないのである。お辞儀と違い、目線を切らないので万が一にも対応しやすい。とりあえず周王朝の様々な文化圏の人々にも、奇抜でない受け入れやすい形ではなかったか。
一つの形が決まれば、そこから派生するのは自明の理であろう。戦時であれば、拱手を頭まで上げて片膝をつけば目上への報告、政庁であれば服の袖に両手を入れ頭を下げれば命令を承る形など、様々な型が形成された。
そもそも「礼」とは、漢字の成り立ちが神への祭祀からきており、そこから転じて人の規範として守るべき物という意味ができた。その中で自己を確立し、他者を認めて敬意を表すことが出来て、始めて自分の存在を高めることができる、其処こそが「礼」の本質なのではないだろうか。そのための礼の動作であるのではないかと思う。
「礼」もこの後煩雑な仕組みになっていくが、現在の「礼儀」が、相手への敬意がある動作かは甚だ疑問である。




