春秋佐氏伝~「週刊紙?」~
史記の話は尽きないが、また別の項で話をすることにしよう。次に紹介したいのは、「春秋左氏伝」である。関羽や福沢諭吉が愛読したというこの書は、魯の国の歴史書「春秋」に細かい註釈を入れて分かりやすくした書である。「春秋」は孔子が何らかに関わっているとの説があるが、確たる証拠がない。魯の国の大夫「左丘明」が註を入れたとの事で「左氏」とついているが、これは伝説だと謂われている。ちなみに誰が註釈を入れたかはまだはっきりとはしていない。なお、中国古代史において「春秋時代」とあるのは、ここからきている。
この書の特徴は、とにかく細かい「註釈」にある。これを初めて読んだときの感想は「どこの週刊紙だ!」であった。とにかく君主周りのスキャンダルの記載が多いのである。前に書いた崔杼の話はこの書からとっているし、春秋時代一の美女といわれる「夏姫」に関しては、「ここまで書かんでも」と思われる内容が書かれている。まるで「現場の○○です」とか「リポーターの○○です」がいるかのような臨場感があるのだ。
魯の国の史書なのに他国の動向が多い書であり、史官たちの熱心さもつたわる内容であるこの書もまた大変面白い。




