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悠たちのアオハル ~大学進学~  作者: すー
1章 大学生時代 一年生
1/13

1 合格発表の日

 まだ風は冷たく、冬の花々がけなげに咲いている季節のことだった。野桜悠(のざくらゆう)は大学の一角に張り出された板の上の大きな紙に、自分の受験番号を必死に探していた。


「えっと、えっと……あった!」


 悠は、心臓がどきどきして息が止まるかと思った。不合格よりはよほどいい知らせだった。自分の番号が合格者の中にあったことで、今までの頑張りや気負いが一気に揮発した。


「やった……」


 力が抜けた。応援してくれた家族や友人に朗報を知らせることができる。そのことが悠を脱力させ、よろよろと転びかけてしまった。


「おっと!」


 力強い腕が悠を支えた。見ると、学生服を着た短髪の、少年の終わり、青年の始まりであるような顔があった。


「あ、ありがとうございます」


 悠は礼を告げた。

 彼が支えてくれたおかげで、集まる人々の中で転ぶという危険な事態は避けられた。


「いいよ。受かってた?」


 青年がにっこりと笑う。


「あ……はい」


 悠は正直に答えた。


「良かった。僕もこの大学に通うことになるんだ」


「そうなんですか!? おめでとうございます」と、悠はお祝いの言葉を口にした。


「タメ年だろ、敬語でなくていいよ。僕は蕗村悟(ふきむらさとる)だよ」

「わたしは野桜悠(のざくらゆう)……です」

「はは、急にタメ口は難しいか。同じ大学に通うことになるんだ、せっかくだから、今日から大学での最初の友だちになってくれないか?」


 悟が真面目な顔になる。


「えっと……いいよ」


 悠は何とかタメで答えた。

 悪そうな人には見えなかった。悠の高校の時の友人は、みんなまったく別の大学を受けていたから、友人関係が一度リセットしてしまったタイミングだ。悟の申し出は心底ありがたかった。


「悟くん、これからよろしくね」

「ああ。悠ちゃん」


 二人は笑い合った。それが物語の始まり。悠たちの新天地での羽ばたきが、いよいよ始まるのであった。

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