アブソリュートテリトリー
国王「ミニスカの国、日本を知ってるか?」
イナカ「多分私の知ってる日本と違いますね」
マリア「そもそもこの世界の中に日本ってあったのね」
国王「皆知らないのか?。ミニスカの聖地、ジャパンを」
サンダー「もちろん知っているとも、王よ」
国王「知っているなら話は早い」
イナカ「知ってる前提で話をしないで欲しいんですけど」
国王「あれは素晴らしい文化だ。我が国にもぜひ取り入れたいものだ」
サンダー「そうですね。高校生はもちろん、できれば中学生や小学生、果ては幼稚園生にも広めたいものですね」
イナカ「マリアさん、良い再就職先知りませんか?」
マリア「世の中不況だから簡単には見つからないわよ」
国王「みんな、私の意見に賛成なようだな」
クルス「賛成どころか辞職を考えるやつが出るレベルなのだが…」
国王「問題はどうやって広めるかだ」
イナカ「待ってください、本当に広める気ですか?」
国王「もちろんだとも」
イナカ「ミニスカ文化なんて浸透させてしまったら性犯罪が増えてしまいます!!」
国王「大丈夫だ、性犯罪は死刑、これで万事オッケー」
マリア「それなら私も賛成だわ、下劣なカスを淘汰できる」
イナカ「ああ、数少ない仲間が減ってしまった…」
国王「これを読んでるみんなも、犯罪は妄想の中に止めておけよ、王様との約束だぞ」
マリア「チカンダメ絶対」
イナカ「誰に言ってるんですか?」
国王「それで、どうやって広める?」
クルス「まず考えられるのは、有名人や人気モデルを起用することで影響力を与えることですね」
国王「つまり?」
クルス「テレビによく出演するモデルやタレントの方にミニスカを履いてもらって、視聴者にも履かせたいと思わせるのです」
イナカ「なるほど」
大臣「そのためにはまずテレビを普及させねばいけませんな」
イナカ「あ、うちの国テレビ無いんだった」
クルス「テレビがなくても雑記や新聞などで大々的に取り上げてもらえばいいのです」
国王「なるほど。しかし…それだけでは押しが弱いな…もっと女子に履いてもらえるような策があれば…」
大臣「女子の皆様はミニスカを履くことについてどう思われるのですか?」
マリア「確かにミニスカは可愛いと思うわ。私はミニスカなんて歳じゃないから履かないけど」
イナカ「私もいいと思います。動きやすそうですし」
マリア「あなたの発想、そこらのわんぱく少年と変わらないわよ」
イナカ「だって動きやすそうじゃないですか」
マリア「それはさておき…。確かにミニスカだけでは少し足元が寂しいですね」
国王「それなんだ。なぜ日本ではミニスカが流行ったのか…。私の調べでは何年か前までは日本の制服のスカートは長い方が流行っていたんだ…それなのに…一体どうやって真逆の流行を浸透させたんだ…」
クルス「確かに…一体どうして何でしょうね…」
王の疑問に答えることができるものはそこにはいなかった。
発言をするものがいなくなった会議に沈黙が流れる。
国王「わからない…どうしてミニスカは流行ったのだ…」
国王は頭を抱えていた。
いままで変態発言は多かったが、国をその小さな背中一つで支え続けたその男の…性格もねじ曲がってしまったが、常に堂々とした姿勢で国を守ってきたその男が頭を抱えて悩む姿をイナカはその時初めて目にしたのだ。
頭を抱えて、震えながら悩み続けるその背中はいつもより小さく見え、改めて国王がまだ子供なのだなと実感させられるほどだった。
そんな国王を目の当たりにしたイナカの心にも困惑や動揺、呆れ、再就職先が見つけられるかという不安、なんでいま自分はここにいるんだという疑問、早く家に帰って寝たいという願望が現れていた。
この場に変態の国王の疑問を解決できるものなどいないのだ。
この疑問を解決するために必要な知識、発想、経験、変態、ロリコンを兼ね備えた人間などこの場にいないのだ。
誰もがそれを悟り、この終わりのない会議に絶望した。
こんな疑問を答えられる変態…いや、犯罪者予備軍など…ここにはいない…。
サンダー「ソックスだ…」
ただ一人の男を除いて!!
サンダー「ルーズソックスだ」
国王「ルーズ…」
クルス「ソックス…」
サンダー「ミニスカによって寂しくなった足元にアクセントを加えたもの…それがルーズソックスだ!!」
国王「!!」
サンダー「ルーズソックスが流行ったからこそ、ミニスカが流行ったのだ!!」
マリア「確かに…ルーズソックスにミニスカ以外は似合わない」
クルス「必然的にミニスカを履かざるを得なくなる…」
イナカ「手取り8万くらいならもう就職先どこでもいいや」
国王「大臣よ!!全衛兵に知らせるのだ!。ルーズソックスを流行させろと!!」
大臣「イエッサー!!」
国王「サンダーよ、この度は実に大儀であった」
サンダー「ありがたきお言葉…」
イナカ「ずいぶんと小さい大儀だな」
国王「さぁ、会議はここまでだ。あとは大塚君に任せてこの回も終わりにしよう」
マリア「待ってください!!国王」
国王「なんだ?」
マリア「今回の話はミニスカの話ですよね?」
国王「そうだが?」
マリア「つまりオチ担当の大塚君もミニスカに関連することをやるんですよね?」
国王「そうだな」
マリア「絵面的に嫌な予感しかしないんですが…」
国王「………」
マリア「………」
国王「今回大塚君は休みにしよう」
クルス「英断ですね」
こうして会議は終了し、部屋にイナカだけが取り残された。
イナカ「再就職先は…女子高生がいいな」