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先生、エロはいけないことですか?


戦術参謀官になりはや一ヶ月。


相変わらず会議ではろくな話題が出たことがない。


そして私はこのあと2時から始まる会議のために昼食を取るべく、食堂に来ていた。


イナカ「あれは…クルス長官!!」


クルス「おぉ、イナカ殿…いや、ここではスミレ殿とお呼びしよう」


クルス長官は会議でもまともな発言が多く、あの場ではイナカにとって癒しの存在となっていた。


クルスは30歳のときに長官に就任し、その後7年間長官として任務を受けている。


クルス「どうかな、戦術参謀官の仕事は?」


イナカ「仕事自体はそんなに大変ではないです。なんとかそつなくこなしております」


クルス「ほう、そのわりには顔に疲労が見られるが」


イナカ「原因は中央議会のせいです。あんな事話し合ってていいんですか?。いつ帝国が攻めてくるかも分からないのに…」


クルス「心配はいらんよ。王は優秀なお方だ。いまエルムが帝国の支配下に置かれていないのはショタ国王のおかげだ」


イナカ「それでも、国の最高の決定権をもつ中央議会の場でもっと話し合うことがあるはずなのに」


クルス「そういうのは全てショタ国王が一人で解決なさっておられる。話し合うより国王一人で解決した方が良い結果を生むのだ」


イナカ「…そうですか」


クルス「しかし、国王にもどうしても解決できない問題が起きたとき、私たちは呼ばれるのだ」


イナカ「…どうしても解決できない問題ですか…」


クルス「さぁ、そろそろお昼を食べよう」


そういうクルスのお盆にはシュークリームとジャムパンとクリームパンが乗っていた。


イナカ「甘いもの好きなんですね、クルス長官」


クルス「お恥ずかしながら、私は甘党でね。そういうスミレ殿は…カレーうどんに餃子、それとニンニクの素揚げ…」


イナカ「やっぱり会議に向けて体力をつけなきゃと思いまして…」


クルス(臭いがすごそう…)


クルスはジャムパンを手に持つと、半分に割り、パンの生地は食べずに中のジャムだけを食べた。


シュークリームもクリームパンも同様な食べ方をした。


イナカ「…長官、その食べ方は?」


クルス「…話すと長くなる」


イナカ「そ、そうですか…」


イナカのクルスに対する好感度が下がった。


イナカ「長官って、ケーキの外側のパッケージを取って付いてるクリームを食べる派ですか?」


クルス「私のケーキを食べる最高の喜びがそこにあるからな」


イナカ「………」


クルス「そういえば君はサンダー将軍と会ったことはあるか?」


イナカ「いえ、遠征に行って議会を欠席していた人ですよね?」


クルス「そう、彼が今日帰ってきて議会に出席するのだが…」


サンダー「クルスー!!」


クルス「おぉ、噂をすれば…紹介しよう、彼がサンダー将軍だ」


サンダー「なにを話してんだ…って、げっ!!」


イナカを見るなり驚いたサンダーは距離をとり、柱に隠れてこちらの様子を伺う。


サンダー「な、な、なんでここに女がいるんだよ!?」


クルス「彼は悪いやつではないのだが、女性が苦手でね…。まぁ、仲良くしてやってくれ」


イナカ「は、はぁ…」


結局、クルスはパンの生地には一切手をつけなかったという。


イナカ(…結局ろくなやついないな)




国王「今日集まってもらったのは他でもない。思春期の男子が部屋に隠してたエロ本が見つかった時の対処法を考えて欲しい」


イナカ(あ、やばい。この状況に慣れつつある)


国王「これについての質問はないか?イナカ」


イナカ「もう予想できるのでいいです」


国王「一応説明しておこう。大臣」


大臣「はい。我が国の思春期の男子の間でいま心停止が流行っております。原因はお察しの通り、家族にエロ本を見つけられた心的ショックによるものです」


イナカ「もはやなにも言うまい」


国王「それでは意見を求める」


クルス「私はこの問題には三つの解決方策があるかと思われます。まず一つは見つかった時の男子の対応による解決、二つ目は見つけた家族の対応による解決、三つ目はそもそも見つからないようにする対策。以上3つの観点から問題を解決できるかと思います」


マリア「まだ解決方策はありますわ。エロ本の所持を取り締まることです。所持した者は即刻死刑」


サンダー「それではなにも解決にならない。思春期の男子のエロスは死んでも抑えることはできない。だからそんなことをしてもむやみに若い命を失うだけだ」


イナカ(かっこよさげなこと言ってるのにすごいダサいのはなんでだろ)


クルス「さすがは思春期の代弁者、サンダーといったところか…」


イナカ「思春期の代弁者って…あのひとどう見ても三十路超えてますよね?」


国王「男っていうのは永遠の思春期なんだよ」


イナカ「黙れショタ」


サンダー「私はむしろ思春期男子のエロ本の所持の義務化を提案します」


イナカ「は?」


国王「ふむ、そのこころは?」


サンダー「世間はエロ本の所持を許しておりません。しかし思春期男子にとってエロ本は切っても切り離せない関係、むしろ健全な証です。そこでエロ本の所持を義務化することにより、エロ本を持ってるのはあたりまえなんだという印象を世間に与えることができます。そうすれば隠す必要なんてありません。堂々と部屋にエロ本を飾ることができます。見つかってもなにも恥ずかしいことはありません!!」


国王「なるほど、一理ある」


サンダー「そしてもし部屋に飾るなら2次元を推薦します!!。3次元なんていうのはクソです!!邪道です!!ただの汚らしいものでしかありません!!」


イナカ「3次元女子目の前にしてそれは喧嘩売ってるってことでいいんだよね?」


サンダー「ち、近寄るな!汚らわしい!!」


イナカ「あっ?」


マリア「まぁまぁ、イナカさん。童貞魔法使いは放っておいて、話を戻しましょう」


サンダー「私から一つ、意見があります」


国王「なんだ?。申してみよ」


クルス「こういうのはいかがでしょうか…」




大塚君の家


大塚母「部屋でこんないかがわしいものを見つけたけど…どういうこと?」


大塚「それは…嘘つきものにはエロ本に見える、聖書だ!!」


大塚君はこの日、晩御飯抜きになったという。


イナカ「ただの大塚君がかわいそうな話じゃん!!」

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