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暗殺されてでもバストの話がしたい

女の子「国王、あんたなんか殺してやる!!」


ある日、いつものように中央会議で厳正な話し合いをしている最中、突然その扉を開けて現れた10歳前後と思しき女の子が刃物を手に持ってやって来たのだ。


あまりに突然の出来事に一瞬戸惑ってしまったが、これでも私は国王の側近的な存在なので渋々国王をお守りすべく、その女の子を捕らえ、無力化した。


イナカ「国王、怪我は?」


国王「大丈夫だ。…しかし、これは一体…」


イナカに捕らえられた女の子は暴れながら叫びだした。


女の子「あんたのせいだ!!。あんたのせいで私の家は、家族は、両親は!!」


怒りによる興奮を隠しきれないその女の子は声を荒げてそのまま訴え続けた。


女の子「あんたがあんなことしたから、私の両親が経営する牧場は廃れ!両親が自殺し!兄弟は売り飛ばされた!!」


クルス「一体なんの話だ?」


女の子「私の両親が経営していた牧場は主に牛乳を加工したものを販売して切り盛りしていた。でも最近、その加工食品の需要が著しく低下し、牧場の経営は困難なものとなった!!」


イナカ「それと国王にどんな関係が?」


女の子「全部国王のせいよ…国王が24時間365日あんな番組をテレビで放送していたせいよ!!」


イナカ「あんな放送…ま、まさか…」


チーズフォンデュin大臣のことか!?。


マリア「なるほど、そういうことね。つまり王国放送でチーズの需要が無くなるような放送をしたせいで、彼女の経営する牧場は上手くいかなくなって、人生が狂ったということね」


イナカ「そんな…あんなふざけた番組のせいで人の人生を狂わせてしまうなんて…」


その後、会議室にやって来たのだ衛兵によってその女の子はどこかに連れ去られてしまった。


女の子「殺してやる!!絶対に殺してやる!!」

彼女の怒号は遠くからでも聞こえるほどであった。


女の子がいなくなった後の会議室にはなんともいえない空気だけが残った。


イナカもあんな放送によって人生が狂ってしまった彼女が不憫でならなかった。


国王「私としたことが…軽率であったな」


国王もあの女の子が不憫に感じたのか、申し訳なさそうな顔をしていた。


それもそうだろう。


理由があったとはいえ、あんな遊び半分で行った行動がこういう形になってしまったのだから。


国王もこれに懲りて、今度からまともになってくれるはず…。


国王「それそうと、話を先程まで話していた女性のバストについての話に戻そうか」


イナカ「…ウッソだろ!!お前!!」


国王「どうした?」


イナカ「さっきまでの空気の中でよくそんな話を切り出せたな!!」


国王「いや、だってそれはそれ、これはこれだし」


イナカ「あの女の子の悲痛な叫びが聞こえなかったんですか!!。あの子を見てなんとも思わなかったんですか!?」


国王「軽率であったとは思っている。だが、これもこれで重要な話なのだ。大臣、説明してやれ」


大臣「現在、このエルム王国では女性のバストが問題になっております。特に貧乳と呼ばれる胸の小さな女性達の多くが自らの胸の小ささにコンプレックスを抱え、家に引きこもってしまっております」


国王「おかげで街にはA,Bカップの女性が絶滅したとの噂が流れるほどなのだ。今回はそんな小さな胸を抱える女性達を励ますための言葉を考えて欲しいのだ」


イナカ「そんなことが起きていたとは…」


マリア「そういえば、私の友人も何人か引きこもってたわね」


国王「さっきのあの女の子のことは不憫に思うが、いまはこれの方が重大な問題なのだ。可哀想だからといって目の前の問題を蔑ろにするわけにはいかない」


イナカ「…一理ありますね」


国王「そういうわけで、イナカよ」


イナカ「なんですか?」


国王「お主って何カップなのだ?」


イナカ「セクハラで訴えますよ」


国王「いや、参考までに聞いておきたかったのだが…」


マリア「でも胸の小ささで悩んでる乙女が世界中にいるのは事実よ」


国王「私から言わせてもらうなら、胸が大きかろうが小さかろうが問題はそこじゃなくて、重要なのは顔なのだがな」


イナカ「ショタ国王はほんと女性の顔にしか興味ないんですね」


クルス「ですが実際、我々男も女性を胸だけをみているわけではないですからね。あくまで胸はその女性を評価するための一つ要素に過ぎなくて絶対に必要な物ではないんですよね。確かに巨乳が好きな人もいますが、多くはないと思うんですよね」


大臣「そうですな、胸が小さいからって悩むのが男には理解しかねませんな」


マリア「確かに男目線では胸の小ささで悩む乙女の気持ちは分からないでしょうね」


イナカ「私も分からないんですよね。胸が大きくても動きにくくて邪魔なだけなのに…」


マリア「イナカさん、あなたは花の16歳だけど乙女じゃないから分からないのよ」


国王「胸が小さくて悩む女性の気持ちを男でも分かるように教えてくれないか?」


マリア「そうですね…言ってみれば女性の胸が小さいことのコンプレックスは殿方にとっては身長が低い人が持つコンプレックスと似ているかもしれませんね」


イナカ「確かに男性で背の小さいことにコンプレックスを持ってる人ってよくいますね」


マリア「そういうことです。女性の胸が小さいことは男性にとって身長が低いみたいなものなんです」


国王「なるほど、それならわかるな」


クルス「ですがいまのご時世、高身長な人がいいっていう女性は少なそうですね。昔は高身長、高学歴、高収入の3Kがモテる条件とか言われてましたけど」


国王「むしろいまの時代ならチビの方が需要高いんじゃないか?。私みたいに」


マリア「そうでもありませんよ。今の時代でも殿方に高身長を求める女性も一定数はおります。それでも大多数は身長なんて気にしない人ばかりですけどね」


イナカ「つまり結論を言うと、女性の胸が小さいというコンプレックスは男性の背が小さいというコンプレックスに酷似していて、男からしたら女の胸の大きさなんてどうでもよくて、女からしたら男の背の大きさなんてどうでもいいと」


マリア「そうね。そういうことを胸が小さくて悩んでいる乙女に伝えられたら少しはマシになるかもね」


国王「ふむ…今回の会議はなかなか有意義な結論だったんじゃないか?」


イナカ「そうですね、悪くない結論ですね」


国王「これでこの国も少しは良くなるな」


国王は会議室の窓から広がる町並みを見下ろしながらそんなことをつぶやいた。


まだまだ幼いはずのその国王の背中を後ろから見ていたイナカにも不思議とその背中は大きく見えた。


1日、また1日と過ぎていく中でこの国はきっと良くなるだろう。


今日の会議でイナカはそんなことを感じた。


イナカ「でもチーズフォンデュin大臣はどうにかしましょうね」


国王「分かっておる。あれはほんとに軽率だった」


めでたしめでたし。






クルス「そういえば今日、サンダー将軍がいませんでしたね」


国王「あいつがいたらあの女の子に対して幼女幼女うるさいだろうから今回は休ませた」


イナカ「たまには国王もいいことしますね」

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