俺は今日もカッコよく生きる
とりあえず、昔中学生に書いた小説をそのままのっけました
いいかい。
今日は君たちに正義の条件を教えよう。
ひとつ、困った人はだれであろうが、助けてやる。
ひとつ、物事の解決は正しいやり方ではなく、自分のやり方で。
ひとつ、自分のやり方に誇りをもて。
今日も俺は公園のベンチで目が覚める。梅雨が過ぎ、もう夏だ。
「あちーな、おい」
「ねえねえ、お兄さん」
「んっ?」
どこからか声をかけられとりあえず振り向いてみるとそこにはまだ10歳も満たないような子供がいた。
「どうした?お兄さんに用かい?」
「うん」
三日間連続でベンチに野宿している俺に用とは何なのか。
そうか、クレームか?
「家がわかんない」
子供はそういって今にも泣きそうだ。
つまり、迷子か。クレームじゃなくてホッとした。今日からどこで寝ようか困り果てるところだった。
「よっしゃ。んじゃ、まあ探すか」
俺が立ち上がると、子供は嬉しそうに微笑んだ。
「で?住所はどこかわかる?」
「?」
わからないようだ。
「歩けるか?」
俺が手を差し伸べると、
「どこ行くの?」
「一応、歩いてみる」
「知らない人についていったら駄目って先生が言ってた」
じゃあ、俺にどうしろと?
「わかった。でも今は緊急事態だ。ケースバイケースって言葉を知らねーのかよ」
「けーすばいけーす?」
子供は首を傾げ、
「それって食べ物?」
と聞いてきた。
「いーや」と俺は答え、めんどくさくなったのでここで会話を終わらせた。
「それじゃ行くぞ」
「でも・・・先生が」
数秒の間自分と闘っていたが、結局、俺とともに探すことにしたらしい。
「で?なんで迷子になったんだ?」
俺は家の道を思い出させるため話を振ってみた。
「違うよ。母さんが迷子にさせたんだよ」
故意的に子供を迷子にさせるってどんな母親だよ。
「母さんが僕に酷いこというから」
話の流れ的に家出ということなのか。なんらかの理由で口論になり、子供が家出。家出したのはいいものの帰れなくなったと。
・・・・・・・。
自業自得じゃね?
「なんで、そんなひどいことを言うことになったんだ。なんで喧嘩になった」
「喧嘩じゃないよ!」と子供は続けて、
「母さんから吹っかけてきたんだよ」
それに乗ることが喧嘩というんだが。
「母さんは僕たちに何も言わず、ダイエット器具を買いあさってたんだ。僕んちは貧乏なのに自分の私利私欲のために使ってるのが許せなくて」
・・・・・。
しっかりしてるなこの子供。
どっちが悪いか明白だが、あくまでこれは子供の意見だ。食い違うこともある。
でも、俺は子供の方に加担したいと思った。
「ねえ、お兄さん」
「なんだ?」
「お兄さんってNEET?」
グサリ。
「さてね」
背中に冷や汗を感じながら、素っ気なく言った。
ポーカーフェイス。マジ俺ってキザ。
「学校は?両親は何してるの?」
グサグサ。
「ご想像にお任せするよ」
「ふーん」
本人は自覚はないかもしれないが、そこでの「ふーん」は死ぬほど辛かった。
「そ、そうだ。ちょっと待ってろ」
と俺はある店に入る。後に子供も続く。
「ねえねえ。ここって何?」
「隠れ駄菓子屋だ」
「いらっしゃい」
70歳過ぎた婆さんが顔をだす。この婆さんとは結構な付き合いである。
「ああ、ナナシ君。いらっしゃい」
「ナナシ君?」
子供が誰?と周りをキョロキョロすると、
「俺の事だよ」
と俺は子供に言った。
「あら、その子は・・・」
婆さんが俺の後ろについてきた子供を一目すると素っ頓狂な声をだし、
「匠じゃないか!」
子供も婆さんの顔をみたら、
「婆ちゃん!」
と婆さんの傍に駆け寄った。さすがの俺も驚きを隠せずに絶句。
「ナナシ君。紹介するよ。私の孫の磯貝 匠だよ」
まさか、この子供が婆さんの孫だとは思わなかった。
そして、俺は一部始終、婆さんに事の説明を始めた。
「そうか、そんなことがね」
はあと婆さんはため息をついた。
「まったく、あかりの奴何やってんだよ」
あかりというのは婆さんの子供であり、匠君の母親に相当する。呆れてモノも言えないといった表情だ。
「わざわざありがとうね。ナナシ君」
「いや、当然のことをしたまでだ。あと、これから、謝る立場だから逆に謝らなくていい」
「?」
婆さんは俺が何を言ってるのか分からないと思ったので、俺は先程考えた案を婆さんに耳打ちするとにっこりと笑顔納得した。
「そういうことかい。まあ、一度あかりには痛い目を見た方がいいね」
「よし、決まりだ」
俺は駄菓子屋の人気商品であるねずみ花火を手に取り、匠君を呼ぶ。
「匠君」
「何?」
「今、いいこと考えたんだ。少し聞かない?」
俺は婆さんと同じ話をすると、意外な返答が返ってきた。
「いいよ。そこまでやらなくても」
「いいのか?」
母親が近づいた瞬間ねずみ花火をまく案は却下されるとは思わなかった。
「ははははは。ナナシ君。匠はそういうことだ。あきらめな」
婆さんがそういった。もしかしたら、わざと案に乗ってきやがったな。このババア。
「わかったよ。婆さん、匠君を頼んだぞ」
「はいよ。任せときな」
「バイバイ。お兄さん。あと・・・」
「?」
匠君は一言、
「ありがとう」
と言った。
いまだに感謝をされるとむず痒い。
「ねえ、婆ちゃん」
「何だい」
「お兄さんってどういう人?」
「私もよく知らないのよ。ただ、悪い人ではないのよ。少し不器用なだけだから」
「うん。知ってる」
さて、君たちに正義の条件を教えよう。
その条件はいまだになかなか俺は守れないけど。
それでも、俺が納得いく条件だから、俺はこの正義の条件を貫く。
さあ、今日もカッコよく俺はいく。
読んでくれてありがとうございます




