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4現目『チワワも怯える怪力の女』


【焔伽蒼構成】



ヤバイかもしれない……。

目の前にいる何故か男子制服を着こなした女性は、俺が拝借した自転車の持ち主だった。


凄い剣幕な表情をしている。

いや、当然か。

普通自分の自転車を取られたら怒るよな。


まだ警察官様がいらっしゃらないだけでもマシである。


とにかく弁明せねば。




「あ━━━」


「一発殴らせろ」




言うが先か、弁明などする間もなく、女性から信じられない言葉が出てきた!


さっきから思ってたが、この女!余りにも男勝り過ぎない!?


確かに文句は言うよ?それは自分の自転車がぬすまれればね!


でも「一発殴らせろ」は単刀直入過ぎないかな!

女性から出る言葉でもないし!




「どうした?覚悟が決まらないのか?なら、目を瞑れ。直ぐに終わる」




ああ!若い男女が向かい合って、目を瞑るとかリア充の嬉しイベントな筈なのに……殴られるよ!


目を閉じた瞬間、殴られるよ!直ぐに終わるって言ってるし!




「ちょっと待って!自転車を盗ったのはホントに謝る!だけど、まず話を━━━!」




俺は必死に弁解を試みたが、次の瞬間━━━━━



━━━━━━━━━━━━━━━━━━



【猫柳構成】



『タコスッ!!』


俺は頬を殴られ、そう叫びながら吹っ飛んだ。


まるでダンプカーに跳ねられたみたいに15メートル程飛ばされ、地面に背中をぶつけた後も勢いは止まらず、ごろごろと地面を転がる。


たまたま後方にあったお洒落な喫茶店の看板を巻き込み、その喫茶店の壁に激突してから、ようやく勢いは止まった。



「私の胸を味わった分も入れといてやったぜ」



散歩していたチワワがきゃんきゃん俺を吠えていてうるさいが、そんな事よりも煙が……あの女の拳から煙が出ている!


それほど強い力で俺を殴ったんだ!


意識が飛びそうなくらいダメージを受けているから、幻覚を見ているんだろうと思われるかもしれないけど違う。


あの煙は今の俺でもはっきり見える。


ほら、今あいつ、拳の煙を吹いたし!



「私の自転車の在処を教えれば、警察だけは止してあげるよ?」

「わかりました案内します許してください」



満身創痍の俺の胸ぐらを、容赦なく掴んで脅す彼女に、俺は早口でそう言った。


これ以上、逆らったら殺される……。


そう悟った結果であった。






それから数分後。

俺は自転車を置いた場所へ案内しているが、会話は彼女に「早く案内しろ」と言われきり全くなかった。


何を話していいのかわからず、ただ沈黙が広がり、気まずい雰囲気を作る。


何か話題を考えよう。

このまま黙っていても自分の気が滅入りそうだ。



「なー、どうして男装なんかしているんだ?」



俺は質問しておきながら、何故その質問を選んだのかわからなかった。

去勢手術の事をこの学校は黙認している事とか、尋ねたい事は沢山あったはずなのに。


女は答える。


「お前規則を見てないのか? 国内で唯一、女性用学生服と男性用学生服どちらでも自由着る事が出来る高校なんだよ」

「そうなんだ」



気がつかなかった。

制服を買う時に「男性用か女性用、どちらにしますか?」と質問されたが、この規則があったからなのか。


それよりも、女なのに男装するなんて勿体無い!


スカートによって発生するチラリズム。

そしてニーソによってきゅっとしまるあの足。

さらには、それらの間に発生する絶対領域を無くす女子がいるなんて勿体無さすぎる!


待てよ。

俺にも制服を選択する余地があるという事は、女装する野郎も現れるって事じゃないか!


どちらかというと、男装よりも女装の方が問題だ。



しかし心で嘆いても仕方ない。

今はこの現実を受け入れるしかないか。



そう思っている内に、俺達は自転車を捨てた場所に着く。


どこにでもあるような裏路地だ。

何かの店が開かれているぐらいで、後はアパートくらいしか建っていない粗末な場所。


確かこの場所に捨てたはずなのだが――。


「あれ?」

「どうしたの?」



捨てたはずの自転車がない。



『to be continued』

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