表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
15/18

15現目『恐怖の約束』

【焔伽構成】



柚菜に問い詰められる俺。


ふと考える。


━━━俺、最近不幸過ぎじゃないかな?


いや、発端の原因は俺が翼の自転車を盗ったことなんだけどね!


でも思うんだよ。


自転車を盗っただけで、この罪に対する償い?ちょっとキツイんじゃないかな。


うん、キツイね。


俺は自身の事をバーゲンセールかと言うほど、底上げをしている。

分かってる。分かってるさ、自業自得、因果応報、全ては俺が悪いのさ!


最早、自棄(ヤケ)気味だった。



「ど、どうしたの? いきなり笑ってるような顔して……病院行く?」



おっと、つい自分の不甲斐なさに笑いが溢れてしまっていたか。

ふふ、仕方ないだろ?これを笑わずしてどこで笑う?


ていうより、「病院行く?」は酷くないですか、柚菜さん?

しかも、割りと真剣かつ心配そうな表情をされているから、余計に傷付く。


針千本刺された気分だ。



これがウソと犯罪の差だと言うのか……!

そういえば、翼には改めて謝罪をしないとな。


そして目の前にいる柚菜にも。

いや、ここは謝罪も含めて何か粗品(そしな)をあけるべきだろう。まずは目の前にいる柚菜からだ。


俺は懐の持ち物をチェックしてみた。


出てきたのはiPhone、財布(所持金5000円)、キシリトールのガム、家のカギ。


……、…………何にもない…だと!? 何てこった!これじゃあ反省の意を表せない!


いっそうお金を渡すか?


いや、それは何だか人としての格を更に落としそうな気がする!


なら……なら!



「今度、俺が奢るから映画にでも行かないか!?」


「……え?」



……。……なんだそれ?


映画? 結局モノで釣ってるじゃないか。


こんなんじゃ心が込もって無さすぎる!いくら思い付きとは言え!


小魚すらも釣れないようなネタで柚菜が許してくれる訳が━━━



「……い、いいよ。私と二人でだよね!?うん、行くよっ! その時に事情も話してね?」


「あ、ああ……」



つ、釣れた━━━ッ!!?



━━━━━━━━━━━━━━━━━━



【堀川構成】



「ちょうど明日は休日だし、明日ね? 明日正午に駅前で集合ね?」


「あぁ……」


俺は頭が混乱していた所為か、柚菜に言われるがまま頷く。


内容もまともに理解できないまま約束してしまった。


しかし何とか危機を逃れた!


約束しなければ、きっと俺は、"外皮のない筋肉丸出しの巨人"なども恐れる惨劇が待ち構えていたかもしれない。


でも何故柚菜は許してくれたのか。


今、俺が最も疑問に思う点はそれだった。


俺が翼の……とても大事な何かを奪い、一生責任を取らないといけない事になったと誤解されたというのに、何故柚菜は許してくれたのか。


映画鑑賞を奢るなんて軽いものでは決して許してくれないはずなのに、何故許してくれたのか、俺は疑問に思わずにはいられなかった。


まさか! 柚菜は映画の待ち時間でショッピングに行き、そこで俺に大量の金品を貢がせる気じゃないのか?!


「零君、なんでガリレオの福山雅治みたいにポーズ取ってるの?」


「気付いちまったからだよ柚菜……お前は映画の待ち時間で、俺に鞄とか指輪とか買わせる気なんだろう?」


この推測に自信はあった。俺の計算に誤りはないはず。


映画を奢るとは言ったが、この財布にある5000円を使わせてたまるか!


俺はそう意気込んでいたが、柚菜の返答は予想していないものだった。


「そんなもの要らないわよ、零さえ居ればいいんだから……」


前を向き、先を歩み始めながら背中で言う柚菜。


背中を向けている為、表情は見えない。


俺は一人残されながら、柚菜の言葉の真意を考える。


俺さえ居ればいいと言っていたが、それは柚菜の目的が俺にあるという事。


俺と一緒である事が柚菜にとって最も重要目的なの

だ。


それはつまり……つまり――。




「俺を一日掛けてボコボコにしたい、という事なのか……?」


瞬間、俺は戦慄する。


とんでもない約束をしてしまった。


そう後悔する。


柚菜の背中が恐ろしく見える。


俺に見えないからと言って、柚菜は今、鬼のように笑っている気がする。


明日、一体何が俺を待っているのだろうか。


柚菜は俺に何をする気なのだろうか。


手足が震えるほど恐ろしいが、俺は考えずには居られなかった。




『to be continued』

 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ